2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520531
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三牧 陽子 大阪大学, 国際教育交流センター, 教授 (30239339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 康治 大阪大学, 国際教育交流センター, 准教授 (30198402)
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Keywords | 初対面会話 / 接触場面 / 話題管理 / 言語ホスト/ゲスト / 場所ホスト/ゲスト / カテゴリー化 / 異文化成員カテゴリー |
Research Abstract |
初年度に当たる平成22年度には、日本在住の中国語母語話者社会人および韓国語母語話者社会人と日本語母語話者間の同性二者間の日本語による接触場面初対面会話データ収集を大阪において行った。2年目となる平成23年度は、場所を中国大連に移し、現地で常勤の職を持つ日本語母語話者社会人と中国語母語話者社会人との間の同性二者間の接触場面初対面会話データ収集(9ペア)を行った。データは、話題を指定しない15分間の初対面自由会話と、初対面話題に関するアンケート調査、および会話の感想や初対面会話に関するインタビュー調査の3種類から成り-会話データは中国語で文字化した後、日本語に翻訳した。 大連で収集した会話は、中国語母語話者の多くが日本語が堪能であったにも関わらず、また、使用言語を指定しなかったにも関わらず、全ペア中国語で行われた。分析の結果、中国語母語話者による言語ホストおよび場所ホストとしての振る舞い、および、日本語母語話者による言語ゲストおよび場所ゲストとしての振る舞いが顕著に見られることが明らかになった。また、会話参与者は、それぞれ言語ホスト・ゲスト/場所ホスト・ゲスト的役割を積極的に担う姿勢がみられた。以上から、会話が行われる場所と使用言語によって、話題の選択および会話の進行に関するホストおよびゲストとしての枠組みが強く作用することが実証されたといえる。また、「日本人は/中国人は」のような表現を通して、相互の異文化成員カテゴリーの前景化が顕著であったことから、社会人初対面接触場面会話参与者にとっては、「社会人」共有カテゴリーよりも異文化成員対カテゴリーが「共通性の探索と強調」と「相違性への関心」双方を実現する有効な初対面接触場面話題スキーマとなっていることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では、中国および韓国でデータ収集の予定であったが、まず中国に焦点を絞ることとし、中国で常勤の職を持つ日本語母語話者社会人と中国語母語話者社会人の初対面会話データおよびアンケート、インタビューから成るデータ収集を行った。収集データを分析した結果、想定通りの結果を示しており、説得力のある成果といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の中国におけるデータ収集が順調であったことを受け、平成24年度は、同様の方法を用いて、韓国において韓国で常勤の職を持つ日本語母語話者社会人と韓国語母語話者社会人の初対面会話データおよびアンケート、インタビューを実施する。その結果と過去2年間の結果を合わせて、総合的に考察を行う予定である。
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Research Products
(2 results)