2011 Fiscal Year Annual Research Report
スペイン語・ポルトガル語近親言語文化圏間の外国語教育と相互理解の諸相
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22520559
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水戸 博之 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (80262921)
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Keywords | スペイン語 / ポルトガル語 / 外国語教育 / 社会言語学 / 異文化理解 / 異文化コミュニケーション / 文化 / 音楽 |
Research Abstract |
平成23年度は、計画の第2年度である。本研究においては、連携研究者として、前年度の名古屋大学・国際開発研究科・准教授・西村秀人と名古屋大学・国際言語文化研究科・非常勤講師・重松由美のほか、同非常勤講師寺澤宏美(在日ペルー人研究)と野内遊(米墨地域研究)が参加し研究体制の強化と拡充を図った。 当該年度の主たる成果は次の項目に要約できる。 1)研究成果の発表。前年度の調査に基づき、西村はウルグアイの言語文化の変容について、重松は在日ブラジル人学生・生徒の言語とアイデンティティについてそれぞれ論文を執筆し研究誌に発表した。さらに水戸と野内は、「テレノベラ」と呼ばれるラテンアメリカの連続テレビドラマにおける薬物乱用防止キャンペーンといった社会的機能に着目し、共同研究による論文を予備的ではあるが発表した。英語圏も含むラテンアメリカの複数の言語文化圏間に共通する問題意識とメディアの役割を考察した研究である。 2)講演会等。毎年開催予定の企画であるが、大阪大学教授河野彰(ポルトガル語学)を講師に招聰し「"Department of Spanish and Portuguese"という概念は日本の大学でも可能か?」というテーマで開催した。ポルトガル語学の立場から、米大学の専攻学科において一般的なスペイン語との並行あるいは移行教育の日本における可能性を考察した。発表言語は主にポルトガル語を使用し、母語話者にスペイン語話者も加わった活発な質疑応答がなされた。西村は、上記論文の他、先行年度の調査による知見の一部を講演資料として活用した。 3)海外調査研究。寺澤が2月21日から3月13日にかけて約3週間、ペルーの首都リマを中心に調査を行なった。今回の調査は、食生活・食文化の視点から、在日ペルー人および日系ペルー人とペルー本国との関係、さらにイスパノアメリカ(スペイン語圏)言語文化の人口移動による変容を考察したものである。現在、調査資料の分析を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究第2年度において、研究論文および講演会を中心とした成果の発表が順調に行われ、新規参加の連携研究者2名の調査により知見が飛躍的に拡大したことから、当初計画以上の進展があったといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度においては、連携研究者によって先行年度の調査で得られた知見や資料の整理を行い、研究全体の中間報告を作成する。この中間報告作成を通じて、スペイン語圏とポルトガル語圏の言語文化の包括的な考察が試みられる。さらに、今年度可能であれば、メディアを例に、2言語圏から成立するラテンアメリカ言語文化の北米英語文化圏における影響について現地調査を行う。
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Research Products
(4 results)