Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 朝子 東京都市大学, 環境情報学部, 教授 (80298017)
望月 正道 麗澤大学, 外国語学部, 教授 (90245275)
細川 博文 福岡女学院大学, 人文学部, 教授 (10249625)
磯 達夫 麗澤大学, 外国語学部, 准教授 (40438916)
清水 真紀 高崎健康福祉大学, 薬学部, 講師 (60433637)
|
Research Abstract |
本研究では,テキスト中で読み手が知っている単語の割合(語彙カバー率,lexical coverage)が英文テキストの読解のためにどの程度の影響を及ぼすかを調査することにした。調査では,同じテキストと読解問題を使用し,カバー率が異なるように操作して未知語を10語,20語,30語それぞれ組み込んだ。さらに,これらの未知語の意味を推測される問題を課した。調査の結果,以下の点が明らかになった。 1.語彙カバー率が高くても,必ずしも読問題で高い得点を取るとは限らない。 研究課題1では,同じテキストの語彙カバー率を98.5%,97%,95%に統制して,語彙カバー率と内容理解の正確さを調査した。しかし,カバー率と内容理解の得点の間には明確な関連は認められなかった。この事実は,限定的ながら,カバー率によって,読解に成功するかどうかについては,明確な指標を与えない事例が存在することを明らかにした。 2. テキストのカバー率が高いほど,未知語の意味を正しく推測できるとは限らない。 同じテキストに10語,20語,30語の目標語を設定し,目標語を限られたヒントで推測するというタスクを与えた。その結果,カバー率と未知語推測の成功率との間には明確な関連は認められなかった。未知語の推測には,テキストの延べ語数に占める既知語の割合も重要であるが,そのほかにも要因があり,語彙不足を補える可能性がある。 今後の課題として,語彙力だけで読解に成功するかどうかを予測できないとすると,他にどんな要因が読解に重要なのかについて,検証することが残された。
|