2011 Fiscal Year Annual Research Report
幕末・明治初年の農業社会と地域社会-羽州村山郡における再検討-
Project/Area Number |
22520656
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
岩田 浩太郎 山形大学, 人文学部, 教授 (30184881)
|
Keywords | 農業史 / 運動史 / 地主小作関係 / 経済史 / 農業経営 / 幕末維新期 / 地租改正 / 山形県村山地方 |
Research Abstract |
平成23年度は、「研究目的」に記したように、前年度(平成22年度)に明治6年「田畑立附米地主名前其外取調書上帳」「田畑立附米小作名前其外取調書上帳」(以下「地主書上帳」「小作書上帳」)の所在を確認でき両帳面の統一的な分析ができた地域に関して、幕末・明治初年の階層構造・商品生産関係史料や「大規模借地農」の経営関係史料について調査を実施した。とくに「大規模借地農」であった山形県河北町谷地新町(旧羽州村山郡新町村)の旧家を前年度に引き続き訪問し、信頼関係づくりに励み、当該家の史料調査を進めた。その結果、米はもちろん畑作物(紅花・大小豆・菜種・煙草・荏油・桑など)の栽培規模が大きく、商品化されていたことが裏づけられた。 こうした本研究の調査は対象が地主家ではなく小作人の家であることから信頼関係づくりに時間がかかり、いまだ調査事例数として十分ではないため、平成24年度も継続する予定である。 また、商業的農業の市場的環境の研究を進めるために、全国紅花市場変動に関する調査も進めた。京都府立総合資料館所蔵の紅花問屋最上屋喜八家文書をマイクロ紙焼きで入手する作業や、宮城県柴田郡村田町の紅花商人大沼正七家文書の撮影調査などにより、羽州村山郡の豪農商による紅花商業の市場的な環境の解明を進めることができた。 さらに、村山郡の農業精造を地主経営の側からも把握すべく、山形県東村山郡中山町の柏倉九左衛門家及び柏倉惣右衛門家の経営史料の調査をおこなった。村山郡の農業構造や地主経営の特徴を把握するための比較研究のために新潟県の巨大地主経営の史料調査もおこなうことができた。 総じて、村山郡の農業構造・階層構造の特徴把握という平成23年度の目標は概ね達成することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に、「本研究の調査は対象が地主家ではなく小作人の家であることから信頼関係づくりに時間がかかり、いまだ調査事例数として十分ではない」と記したことが理由である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成22年度に申請した当初の研究計画にしたがい研究を推進する予定である。変更や問題点は格別ない。
|