2012 Fiscal Year Annual Research Report
幕末・明治初年の農業構造と地域社会-羽州村山郡における再検討-
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22520656
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
岩田 浩太郎 山形大学, 人文学部, 教授 (30184881)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 農業史 / 運動史 / 地主小作関係 / 経済史 / 農業経営 / 幕末維新期 / 地租改正 / 山形県村山地方 |
Research Abstract |
交付申請書の実施計画に記したように、まず山形県西村山郡河北町高関の旧家の補足調査を実施し、「大規模借地農」の経営関係史料の調査及び聞き取りを実施した。同時に、大規模借地農に土地を貸していた大規模豪農の農業帳簿を調査し、「大規模借地農」の農業経営と労働力編成の実態についてあらたな知見を得た。その結果、「大規模借地農」は自己が大規模な小作経営を確かに実施したとともに、一部の借地は又小作に出し他の小作人の小経営をその基盤にしていたことも判明した。 その上で、第3年度の研究課題とした村山郡の「地域運営体制」や民衆運動など政治過程に関する研究をおこなった。明治大学博物館所蔵の羽州村山郡古文書資料を調査し、慶応2年羽州村山世直し騒動や天保~文久期の小作争議の関係史料を撮影し分析した。その結果、当該期の小作争議は、村を越えた地主小作関係を基盤にした「均し検見」を戦術とし「大規模借地農」など小作上層が主導し半プロ層も参加した運動であったことを実証的に解明できた。しかし、文久から慶応にかけて民衆運動の主流は半プロ層中心の世直し騒動へと転換していくことをあきらかにした。そうした転換の背景には、大規模豪農-中規模豪農が結集した地主講=泰平講の活動や地域振興殖産策の展開などにより、畑作商品生産の中心的な担い手でもあった「大規模借地農」など小作上層が大規模豪農による地域統合に編成されていったことを解明しつつある。 総じて、第3年度の所期の課題をほぼ達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由)上記「研究実績の概要」に記した通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成22年度に申請した当初の研究計画にしたがい研究を推進する予定である。変更や問題点は格別ない。
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