2011 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシア・ムスリム諸団体の日本のイスラーム政策への対応とそれぞれの運動の展開
Project/Area Number |
22520724
|
Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
小林 寧子 南山大学, 教授 (60225547)
|
Keywords | 在エジプトオランダ代表部 / インドネシア人留学生 / パレスチナ問題 / 世界ムスリム会議 / イスラーム系メディア |
Research Abstract |
平成23年度は、8月に、昨年度に引き続いてオランダで資料収集を行った。ライデンの王立地理言語民族学研究所では、1930年代のオランダ領東インドで出版された新聞・雑誌に掲載された記事の概観をしたIPO(原住民マレー語/中国語紙概観)をチェックする作業を行ったが、予想した以上に時間がかかっている。また、ハーグの国立文書館では、昨年通覧したオランダ領東インド政庁の秘密報告書のインデックスの中から、日本のイスラーム・プロパガンダの文書の一部(昨年手をつけられなかったもの)を複写した。 さらに、上述の新聞・雑誌に投稿する、カイロのインドネシア人留学生の動向を監視していたカイロのオランダ代表部(領事館)の記録のインデックスを通覧し、一部は実見した。そうしたところ、パレスチナ問題との絡みで植民地東インドからの留学生が世界ムスリム会議(1931年)の組織・運営に関与していることがわかった。また、この会議をめぐるムスリムの動向には、オランダ政府は、フランスやイギリスとも協力し、情報を交換しており、大量の文書が残されていた。同時代のオランダ領東インドのイスラーム系雑誌に、パレスチナ問題が多く掲載される理由が見えてきた。 また、国内にあっては、昨年度収集した1930年代のイスラーム雑誌に掲載された海外事情・国際関係に関する記事のデータを整理する作業を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1930年代のイスラーム系雑誌・メディアが予想以上に豊かな内容で、また特に国際情勢に関する情報量が非常に多く、データ整理にかなりの時間を要している。しかし、従来の研究で全く扱われていなかった分野に光を当てることになった分だけ、丁寧に読み解き、データを積み上げて、ムスリムの国際関係認識という新しい知見を提供できるようにしたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初は、1930年代、日本占領期とほぼ同等のウェイトを置いていたが、日本占領期の対イスラーム政策が関する資料が断片的にしか残っていないことがわかった。一方、1930年代に関しては、予想をだいぶ上回る情報が得られることになり、焦点をこの時期に絞った方が、より実のある研究成果が出せるのではないかと思われる。今後もハーグの国立文書館と、ライデンの王立民族学研究所での資料調査は続けるが、オランダでの作業は体系的にできるので、まずそれにまず目処をつけ、その後、オランダになかった資料をジャカルタの国立図書館で行うようにしたい。
|
Research Products
(3 results)