2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520776
|
Research Institution | Hanazono University |
Principal Investigator |
高橋 克壽 花園大学, 文学部, 教授 (50226825)
|
Keywords | 若狭 / 古墳時代 / 前方後円墳 / 向山1号墳 / 九花峰古墳 / 短甲 |
Research Abstract |
本研究の主要対象のひとつである福井県若狭町向山1号墳出土資料の研究が本年度の主要課題であった。このうち、もっとも資料化の進んでいなかった埴輪の整理を中心に進めた。実際の作業は発掘された破片の接合・復元ならびに図化を進め、完形に復元しえた円筒埴輪は、朝顔形を含め計9点となり、今後の比較研究を進める上で良好な資料を得ることができた。ただし、形象埴輪は整理途上にある。 石室と武器埋納坑からの出土品については、計画通り、3領の短甲、加えて1面の鏡に対して3次元デジタイザーによる実測を試みた。3次元の複雑な曲面をもつ短甲の精細な3次元データは、手測りの2次元図面に対して膨大な情報量と効率化をもたらした。なお、京都府精華町の鞍岡山3号墳では、発電機を用いた野外での短甲出土状況に対する3次元計測を実施し、今後の活用性・利便性を考えるための貴重なデータを得た。 22年度に派生した大きな成果は、小浜市九花峰古墳の測量を実施したことである。これには福井県小浜市教育委員会の協力を得た。急きょ実施したのは、本古墳は23年度発掘調査予定の丸山城址古墳を考える上で、立地や編年上、重要な前方後円墳と考えられたからである。測量調査の結果、本墳はこれまで考えられていた時期をさかのぼり若狭で最古の前方後円墳である可能性が高くなった。これにより、海浜に面した小浜地域と内陸にはいった若狭町地域の一体性を考える格好の資料を得ることができ、本地域の古墳時代の開幕が当初から日本海を意識したものであったことがわかった。
|