2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22520776
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Research Institution | Hanazono University |
Principal Investigator |
高橋 克壽 花園大学, 文学部, 教授 (50226825)
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Keywords | 若狭 / 古墳 / 向山1号墳 / 丸山城跡古墳 / 脇袋丸山塚古墳 / 埴輪 / 朝鮮半島 |
Research Abstract |
本研究課題の主要調査対象である福井県若狭町向山1号墳出土資料については、前年度より進めていた埴輪の整理作業を終了させ、須恵器、玉類の実測分類作業を終えた。短甲の3次元データに基づく実測図の作成も行った。また、石室、副葬品収納施設における副葬品出土状態についても復元検討を試みた。 研究計画に掲げた小浜市所在の丸山城跡古墳の発掘調査は夏季に集中して実施した。これにより墳丘に樹立されていた埴輪の資料や墳丘に関する基礎的なデータとともに、前方部の横穴式石室の情報を得ることができた。これにより、羨道の構造や追葬に関する朝鮮半島資料との比較が可能となった。なお、石室は完全に盗掘されており、何ら遺物は出土しなかった。また、後円部の埋葬施設の確認調査はおこなっていない。 丸山城跡古墳の出土埴輪に加えて若狭町の脇袋古墳群についての研究を進めた。とくに、出土資料が未整理状態であった若狭町糠塚古墳の埴輪を整理・復元し、本墳が地域の王墓が集まる脇袋古墳群の中でもっとも新しい時期の前方後円墳であることを確認した。さらに、2012年3月には脇袋の若狭の王墓群を見下ろす丘陵に立地する丸山塚古墳の測量調査を実施し、それが若狭で初めてみつかった全長約51mの帆立貝式前方後円墳であることを明らかにした。立地や墳形において対照的な古墳であることから、これにより向山1号墳の特殊性や若狭の地域王権の構造に対する理解が進むものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
丸山城跡古墳の後円部石室の調査はできなかったが、脇袋の重要な古墳である丸山塚古墳の測量図を作成できたから。
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Strategy for Future Research Activity |
向山1号墳の発掘データや副葬品の資料化に重点を置きつつ、その評価のための日韓双方の対比資料の検討を進める。また、前年度得られた丸山塚古墳のように、向山1号墳の性格を対比的に明らかにするための関連古墳の資料調査につとめる。これには一部発掘調査も含む。こうした作業を充実させることにより、小浜市丸山城跡古墳の後円部の石室調査に対する実施を控えることもあり得る。
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