2010 Fiscal Year Annual Research Report
マレー人との共棲関係から見たボルネオ・ダヤクの山地民意識の社会人類学的研究
Project/Area Number |
22520820
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
石井 眞夫 三重大学, 人文学部, 教授 (20136576)
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Keywords | Malay / Dayak / Ethnicity / Nation State / Ethno-tourism / Development / Minority |
Research Abstract |
ボルネオ島における平地民マレーと山地民ダヤク間の民族関係の現状をダイナミックに捉えることを目的とした本研究の今年度調査研究は、マレー/ダヤク間関係の現状に関する基礎資料を得ることと、同じくボルネオ島にありながら民族間関係において大きな違いを見せるマレーシア領サラワクとインドネシア領カリマンタンの対比と共通点を捉えることの2点を主眼に行った。 交付決定が遅れたため、2010年11月~2011年1月にかけては国内の諸研究機関などで、従来からのボルネオ民族誌記録とボルネオの現状に関する諸記録を調査することから始めた。収集された資料にもとづき、2011年2月~3月にかけて、ボルネオ現地調査とマレーシア、インドネシア、シンガポールの諸研究機関にて資料を収集した。 現地調査ではマレーシア国立大学、サラワク博物館、マレーシア・サラワク大学東アジア研究所や西カリマンタン州タンジュンプラ大学、ダヤク文化研究所などで基礎資料を収集するとともに現地研究者と情報を交換することが出来た。また、サラワクではビダユ、ムラナウ、イバン、マレーなどの村落の現状を調査し、西カリマンタンではマレーシア国境地域にかけてのダヤク村落の現状を調査し、これまで知られていなかった山地民と平地民との関係について把握することが出来た。また、サラワクでは州政府観光局が観光客誘致の恰好の対象として、ダヤク系諸民族文化を宣伝しつつサラワク開発に力を入れるが,カリマンタンでは個々の民族集団よりダヤク全体として結束し州政府を主導しようとしている現状を把握出来た。ボルネオ各地に民族状況の違いは国民国家と開発政策の在り方と密接に関係し、東南アジアの現状把握に資する所が大きいと考える。
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