2012 Fiscal Year Annual Research Report
マレー人との共棲関係から見たボルネオ・ダヤクの山地民意識の社会人類学的研究
Project/Area Number |
22520820
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
石井 眞夫 三重大学, 人文学部, 教授 (20136576)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | ダヤク / 民族意識 / エスニシティ / 都市化 / 近代化 / 過疎化 |
Research Abstract |
ボルネオ内陸山地に居住する諸族は、主に海岸平野部に居住するマレー人に対してダヤクと総称されている。山地民は一般にロングハウスに居住、山地で焼畑農耕に従事し、首狩慣行を持つなど、平野部のマレーとは大きく異なる文化的特徴を持っている。宗教上も熱心なイスラム教徒であるマレー人と異なり、しばしばアニミズムと表現されるような祖霊などの諸霊への信仰を持ち続けている。こうした文化的対比から、ダヤクはしばしば先住民と誤り考えられ、マレー人とは民族的に対立するものと考えられてきた。しかしながら、文化的対比は必ずしも民族的対立に結びつくわけではない。両者は海岸平野と内陸山地という異なる生態環境へ適応した生活様式の相違による共棲的な対比の中で生きてきたもので、元来は両者の境界は不明確で連続的だった。 マレーシア成立後はインドネシアとの争乱を経て、現在のボルネオはマレーシア領とインドネシア領に分割されている。いずれの地域でも現代生活と都市化の進行の中で山地民固有の文化は消失に向かい、マレーとダヤクの文化的対比も小さくなりつつある。しかしながら、争乱終結以降、マレーシア領サバ、サラワク両州の経済的発展と近代化は急速に進んでいるのに対して、インドネシア領は道路網の整備や都市基盤の整備などでマレーシア領に遠く及ばないものの、都市化や山地村落の過疎化など山地民をめぐる状況には共通のものがある。 近代化、都市化の進行により生活様式が変化し山地民文化が消えつつある中、また山地民が山を下り都市に移住する中、これとは裏腹に山地民の民族意識は強くなりつつあり、また民族団体活動、固有文化の保護活動は活発になりつつある。その理由は、一つには世界各地に共通する消えつつある民族文化へノスタルジーであり、また観光資源としての民族文化であるが、地方政治の中で民族集団が政治活動団体化しつつあることも大きな理由あると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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