2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本型議院内閣制の実態と内閣統治の憲法統制に関する研究
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22530038
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
加藤 一彦 東京経済大学, 現代法学部, 教授 (30256292)
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Keywords | 両院協議会 / ドイツ連邦宰相 / 内閣法 |
Research Abstract |
今年度は、(1)日本の両院協議会制度と(2)ドイツの議院内閣制における宰相権限について研究をした。日本の議院内閣制の大きな特質は、両院において与党が過半数をもたなければ、安定した政権運営が憲法上、困難である点にある。いわゆる「逆転国会」が継続している政治状況では、両院の合意形成は、事前の与野党間の協議が成功すれば、この困難な状況は克服できる。 一方、憲法上、両院協議会の制度が実定化されているが、しかしこの制度は、与野党間の間では、あまり利用されていない。というのも、この制度が、両院の意思の不一致を除去する機能をもたず、むしろ、両院の意思の不一致を確認する機能を内在的にもっているからである。その論証のために、これまでの両院協議会が機能しなかった実例を挙げつつ、制度的問題点を研究した。 ドイツの連邦宰相は、ドイツ基本法65条において「政治の基本方針」権限を有する。一方、日本の内閣法はドイツの当該条文を導入し(1999年)、首相のリーダーシップ強化を目指してきた。そこで本研究では、両国の首相権限の異同に着眼し、ドイツ基本法上の「連邦宰相の政治の基本方針」の権限の範囲及びその源泉について、ドイツ文献を中心にまとめる作業を行った。 特に、連邦宰相の権限である(1)宰相原理、(2)所管原理、(3)合議制原理を分析し、ドイツの宰相デモクラシィーがヴァイマル憲法以上に、基本法上、強化されている点を論じた。もっとも、だからこそ憲法学説では、連邦宰相の基本方針決定権の制約論、その責任の範囲が論じられる必要性があり、その学説の紹介に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
確実にドイツ及び日本の文献を収集・分析している。本学の研究支援体制も整っており、研究阻害要因の多くは除去されている。もっとも、日本政治が流動的であり、制度的分析には、今後困難が伴うと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、ドイツの選挙法改革を中心に、改めて日本の選挙制度との比較研究を行う予定である。というのも、日本では「1票の較差」是正のため、衆議院議員選挙制度及び参議院選挙制度改革が、政治日程に挙がってきており、日本が雛形にしてきたドイツ選挙制度の現在を改めて分析する必要があるからである。
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Research Products
(2 results)