2011 Fiscal Year Annual Research Report
労使関係法原理と公務員法原理の調整という視角からの公務団体交渉・協約法制の研究
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22530060
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
渡邊 賢 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 教授 (50201231)
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Keywords | 公務員 / 労働基本権 / 団体交渉 / 労働協約 |
Research Abstract |
本研究では平成22年度にカリフォルニア州の調査を行ったが、その結果、合衆国各州で公務員制度改革の動きがあることが判明した。そこで本研究では、当初平成23年度に予定していたドイツ・フランスの調査研究に代え、平成22年度に引き続き合衆国の調査を行うこととし、平成23年度中に研究代表者が、'来年度予定されていたニュー・ヨーク州の調査を、連携研究者である同志社大学政策学部大島佳代子教授とともに行い、コロンビア大学において、コロンビア大学ロースクールLance Liebman教授(雇用関係法・労働法)及び同大学ロースクールMark Barenberg教授(雇用関係法・労働法)と面会し、ニュー・ヨーク州及びニュー・ヨーク市の公務員労使関係における団体交渉・協約締結の制度及び実態につきインタビューを行った。Liebman教授はニュー・ヨーク市の実態に精通しており、Barenberg教授は、わが国で言えば平成23年度後期にコロンビア大学ロースクールで公務員法に関する講義を開講していることから、きわめて有意義なインタビューとなった。特にこのインタビューを通して、合衆国全体における公務員の団体交渉・協約締結をめぐる法状況、近年におけるその変化、それら全体状況と比較した場合のニュー・ヨーク州及びニュー・ヨーク市の法状況の特徴に関する知見を得ることができた。これらはわが国において必ずしも十分に明らかにされていない点を多く含んでおり、今後わが国における公務員の団体交渉制度・協約制度を検討する上で参照に値する点を多く含むものである。また、前年度に行ったカリフォルニア州における各種のインタビューの内容を翻訳し、本研究の研究代表者・連携研究者間で情報共有するとともに、それらインタビュー等を通して得られた知見を起訴とした視点を用いて、わが国において現在試みられている公務員制度改革では必ずしも十分には問題として意識されていない点(具体的には、締結された協約を法制度化する際に発生する可能性のある問題)について、平成23年度に発表した拙稿において問題提起を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
アメリカ合衆国における調査では、当初の計画以上に多様な相手方とインタビューを行うことができ、当初の想定以上に多様な視点を獲得することが実現できている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では平成23年度に予定していた、連携研究者である晴山一穂専修大学教授によるフランスの調査及び根本致大阪市立大学教授によるドイツの調査を平成24年度に行い、フランス・ドイツとの比較研究を行う。また、東京在住の晴山一穂教授に来阪してもらい、大阪市立大学において研究代表者・連携研究者相互間で、これまでの研究成果を確認するとともに、今後の研究の具体的なあり方を確定する。
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