2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530079
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
尾島 茂樹 金沢大学, 法学系, 教授 (50194551)
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Keywords | 消費者 / 民法改正 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近い将来に実施されるものとして準備が進められている民法(債権法)改正において、消費者に関わる規定がいかに扱われるべきかを検討しようとするものである。 平成22年度は、研究計画に従い、わが国における民法改正の議論について、おもに「民法(債権法)改正検討委員会」及び「民法改正研究会」等の具体的提案、及びそれらに対する種々のコメントを精査し、「消費者」とのかかわりで具体的に何が問題かを検討するとともに、関連する日本、英米、ドイツの文献の収集にあたった。 わが国における議論の検討では、消費者法規定の民法への取込みにおいて、委員会の提案(一般法化、統合)がよいのか、研究会の提案(レファレンス方式)がよいのか、あるいは別の方式がよいのか、について、決定的な判断要素はないとの結論に至った。このことは、ドイツにおいて統合方式が採用され、フランスにおいて独立法典方式が採用されていることからも、容易に理解できると考える。そこで、次に、法体系はまったく異なるものの、同様の状況でいかなる議論がなされているかを知るために英米法の検討をすすめた。その際、「非良心性」法理の置かれている状況が消費者法規定の「一般法化」と類似すると考え、その検討をすすめた。この検討は、わが国において消費者法規定が一般法化された場合の法規のあり方について一定の示唆を与えるものと考える。 以上の検討結果を論文にまとめ、平成23年5月締切の雑誌に投稿する予定である。
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