2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530079
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尾島 茂樹 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (50194551)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 民法改正 / 消費者 |
Research Abstract |
現在、審議されている民法(債権関係)改正のたたき台では、消費者契約法の規定の一部を民法典に一般法化して規定し、または消費者に関する規定として統合することが提案されている。本研究は、このような改正が当該規定についての従来の内容にどのような影響を与えるかという観点から、その妥当性について比較法、及びわが国の判例の検討を行った。結論として、一般法化により、規定の趣旨・要件が曖昧となり、消費者保護が後退する可能性があることを指摘した。 具体的には以下の通りである。現在、法制審議会での審議のたたき台案で方向性が打ち出されている「消費者」にかかわる規定を民法の中に規定すること(消費者法の「一般法化」及び「統合」)の当否を検討した。平成22年度のアメリカ法の「非良心性」法理に関する比較法的視点から得られた、消費者法の一般法化による事業者間取引への適用に関する問題点、及び平成23年度におけるわが国の状況の検討の結果から得られた、消費者法の適用要件の曖昧化という問題点を踏まえ、本年度は、さらに、「消費者」像の検討、消費者教育・法教育のあり方の検討、及びクーリング・オフ等の今回の民法改正では「一般法化」「統合」が予定されていない消費者法規定のあり方の検討をすすめ、消費者法の民法への「一般法化」及び「統合」にはきわめて問題が大きく、特に、契約自体が経済活動の一環としてなされることに鑑み、対等な当事者間の問題を想定する民法に、格差ある当事者間の問題を想定する消費者法を「一般法化」及び「統合」することは望ましくないという知見を得た。このことは、立法動向にも重要な意義を有する。 なお、その後の法制審議会の議論を推移によれば、消費者法の民法への「一般法化」「統合」については、消極的になり、ほぼ可能性がなくなったように見受けられる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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