2011 Fiscal Year Annual Research Report
西欧キリスト教民主主義:その「危機」と革新の可能性
Project/Area Number |
22530115
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
水島 治郎 千葉大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (30309413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土倉 莞爾 関西大学, 法学部, 教授 (00067703)
野田 昌吾 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 教授 (50275236)
中山 洋平 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (90242065)
伊藤 武 専修大学, 法学部, 准教授 (70302784)
津田 由美子 獨協大学, 法学部, 教授 (30247184)
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Keywords | 比較政治 / 国際情報交換 / 多国籍 / キリスト教民主主義 / 宗教と政治 |
Research Abstract |
本研究はヨーロッパ・キリスト教民主主義政党における、危機と革新の可能性を明らかにすることを目的としている。西欧各国におけるキリスト教民主主義政党は、90年代に党が消滅したイタリアを除き、各国で勢力は弱体化しているとはいえ、おおむね主要政党の一つとして政権参加している例も多い。しかしその政党としての生存戦略の帰趨は多様である。研究2年目である平成23年度は、本研究プロジェクトの展開として、以下の作業を行った。(1)研究メンバーによるキリスト教民主主義政党や他勢力の歴史と現状について資料収集の継続。特に近年、ヨーロッパ統合とキリスト教民主主義政党との関連を論ずる研究が出ていることから、各国別の資料収集と並んで、ヨーロッパ統合との関連についても積極的に資料収集を進めることとした。(2)外国人研究者を招いた研究セミナーの開催と研究情報交換。本研究グループの副代表である土倉により、関西大学において、キリスト教民主主義研究の国際的中心であるルーヴェン大学のベルギー人研究者を招いて講演セミナーを行い、研究成果を一般に還元するととともに、交流を通じて最先端の研究情報の共有を図った。上記をはじめとする海外の研究成果を踏まえ明らかになったことは、西欧のキリスト教民主主義政党の抱える困難は、たとえばイデオロギー上のライヴァルであるはずの社民政党とも構造的に共通しており、その意味では20世紀型大衆組織政党の限界ともいうべき位置づけをする必要があるということである。さらに(3)次年度において予定されている学会セッションの主催、図書刊行に向けて実務的な作業も開始した。これとあわせ、(4)本研究プロジェクトに関するサイトを拡充し、研究成果を学界に還元することも進めている。総体として研究・交流・成果還元のいずれにおいても、有意義な成果を出すことができたといえよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた各国別のキリスト教民主主義研究の進展に加え、ヨーロッパ統合との関連についても調査が進められたこと、また、ルーヴェン大学の研究者を招聰して実りあるセミナーを開催できたことなど、有益な成果をだすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は研究の最終年度であるところから、キリスト教民主主義政党における「革新」の諸相の比較検討を軸に、研究成果のとりまとめと成果の公開を進める。2012年6月には比較政治学会、10月には政治学会で、当研究グループが中核となるセッションが計画されている。また論文はもちろん、単行本としても研究成果公開を行う出版が予定されている。研究成果を学界および社会に問うことで、有意義な議論と展開を期待したい。
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Research Products
(15 results)