2010 Fiscal Year Annual Research Report
短期と長期のインセンティブ付与に関する統一的視点からの内部労働市場機能の解明
Project/Area Number |
22530216
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
上原 克仁 一橋大学, 経済研究所, 講師 (60509157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都留 康 一橋大学, 経済研究所, 教授 (00155441)
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Keywords | 内部労働市場 / 人事データ / 人事制度改革 / インセンティブ |
Research Abstract |
本研究の主たる意義は、日本最大級の自動車販売会社J社から入手した人事並びに製品取引データをもとに、これまで別々に行われてきた短期と長期のインセンティブ付与に関する分析を一企業を対象に統一的に行うことを通じ、内部労働市場の機能のより一層の解明を行う点にある。平成22年度は以下の作業並びに分析を行った。 (1)入手したデータの入力および整備 当初入手した人事および製品取引データについては6月までに入力を終え、その後、分析に耐えうる状態にするべく種々の整備を行った。さらに、分析をする上で、従業員の職務異動に関するデータが必要となったため、平成23年2月にそれを入手し、入力作業を開始した(平成23年5月頃の入力完了を予定している)。 (2)人事部に対する聞き取り調査と予備的分析 分析対象企業の人事や報酬をはじめとする諸制度や仕組みの理解、さらにはデータの入力の段階で生じた疑問や問題点を解決するため、日常のメールでのやり取りに加え3回にわたり先方に出向き、人事担当者と詳細な打ち合わせを行った。あわせて、研究協力者等も参加の上で月に1回以上研究会を開催し、基本統計量の計算や予備的な分析結果の検討とそれに基づく今後の方針に関する議論を行い、詳細な分析を開始した。具体的には、考課結果や月次の販売成績等に基づくマルチタスキング・エージェンシー問題の解明、昇進者や異動者の決定等人的資源配分プロセスの解明、さらには、月次販売データを用い報酬制度変更が及ぼした影響をダイナミックなモデルで推計する研究、日次販売データをもとに、販売のタイミングや販売車種、値引きなど複数の戦略変数を同時に分析する研究に着手した。
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