2011 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア経済統合のもとでの企業の進化的多様性と産業システムのダイナミズム
Project/Area Number |
22530219
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
植村 博恭 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (70184976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇仁 宏幸 京都大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (90268243)
山田 鋭夫 九州産業大学, 経済学部, 教授 (10024978)
磯谷 明徳 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (60168284)
遠山 弘徳 静岡大学, 人文学部, 教授 (20202195)
原田 裕治 福山市立大学, 都市教養学部, 准教授 (70313971)
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Keywords | 産業論 / 東アジア統合 / 国際産業システム / アジア資本主義の多様性 / 企業システム / 日本経済 / 中国経済 / 韓国経済 |
Research Abstract |
各研究グループは分析方法を明確化し、必要なデータを組織的に整備し分析作業を進めた。 (1)企業システムの多様性の進化プロセスに関する理論分析を発展させ、企業システムの異質性・進化モデルの開発に基づいて計量分析を行った(遠山・原田)。 (2)日本・中国・韓国の企業システムと資本主義の多様性について実証研究を発展させた。(1)日本の企業・雇用システムと産業システムの多様性に関しては、自動車産業と電機産業の企業システムの多様性の分析を行い、産業内における企業の異質性を考察した(磯谷、植村)。(2)中国に関しては、Lei Song(Peking University)とJean Wang(Southem Cross University, Australia)と植村・木崎が電機産業と自動車産業を分析し、中国における地域的・産業的多様性を確認した。(3)韓国に関しては、Wooseok Ok(University of Incheon)、Junho Yang(University of Incheon)が研究チームを組織し韓国の企業と経済の研究を進めた。 (3)多国籍企業のガバナンスと戦略の異質性に関する分析フレームワークを発展させ、遠山と植村を中心に日系多国籍企業の海外事業活動に関するデータを分析した。 (4)国際産業システムの動態の分析として、宇仁、植村、原田はアジア国際産業連関分析によってアジア地域の国際分業の変化を検討し、クラスター分析によってアジア資本主義の多様性と動態を考察した。 研究の成果であるBoyer, R., Uemura, H.and Isogai, A.(eds.) Diversity and Transformations of Asian Capitalisms, Routledge, 2012の出版を記念し、12月に国際シンポジウム(横浜国立大学)を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、共同研究を大きく発展させることができ、その成果をBoyer, R., Uemura, H.and Isogai, A.(eds.) Diversity and Transformations of Asian Capitalisms, Routledge, 2012として出版することができた。これは、東アジア地域の諸国(中国、日本、韓国、ASEAN諸国)における企業の進化的多様性、産業システムの相互依存性の発展、アジア資本主義の多様性と動態に関して行った総合的な実証研究の成果である。本書の内容は、SASE(The Society for the Advancement of Socio-economics)などの国際学会で注目されている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、企業の進化的多様性とアジア資本主義の多様性について共同研究を十分に発展させることができたが、以下の点でさらに研究を推進することを予定している。 (1)東アジア地域で活動する諸企業の企業システムについて、各地域の金融市場と労働市場がどのように影響を与えているか、さらに精緻な分析を行う予定である。 (2)最新のアジア国際産業連関表及びWorld Input-Output Database(WIOD)を利用し、東アジア地域における諸産業の相互依存関係の動態を分析し、多様な制度的特徴を持った企業の活動が国際的な産業動態にどのように影響を与えているか分析する予定である。 (3)東アジア地域における企業の産業立地、生産ネットワークとサプライチェーン、中間財貿易と最終財貿易がどのように展開し、全体としてどのような長期的な国際産業動態を生み出しているか、検証する予定である。 これまでの研究成果と今後の研究成果を総合して、『転換期のアジア資本主義』(藤原書店)として出版する予定である。
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