2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミドルマネジャーの多様性と職場内コミュニケーションの「伝え方」に関する調査研究
Project/Area Number |
22530365
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
奥居 正樹 広島大学, 大学院・社会科学研究科, 准教授 (20363260)
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Keywords | コンテクスト・パターン / プロトコル / 組織文化 / 多様性 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に実施したIT企業(ソフトウェア開発)のアンケート調査に加え、新たに同業2社を調査対象とし、計3社の調査結果からミドルマネジャーが属するワークグループの多様性を加味したコンテクスト・パターンの分析を行った。これにより、日本企業の中でもソフトウェア開発企業に対象を絞り込んで研究を進めた。 職種集団別の調査結果では、アンケート調査全体の集合和から導出するコンテクスト・パターンは高コンテクスト型が60%以上の比率を占めており、先行研究で示される日本企業の全体平均の特徴を持つ。しかし、その詳細を分析すると以下のような特徴を持つことが明らかとなった。 ミドルマネジャーと協働者とのコンテクスト・パターンは対話相手の親疎関係や職位によって動的に変化することはこれまでの調査で明らかとなっているが、そのコンテクスト依存度の傾向は一部例外があるものの、職種集団毎に類似性があることが確認された。コンテクスト依存度の傾向とは、協働者との間におけるHC比率の順序のパターンを指す。調査結果では、「人間関係」「報告・連絡」「相談」に関するコミュニケーションにおいて、開発部門や営業部門、IT運用管理部門のHC比率(全体に占める高コンテクストの比率)は職種集団毎に類似性が確認された。また、一部の例外とは、スタッフ部門は各社各様で相違すること、そして「問題解決」に関しても類似性は見られないことであった。 以上のことから、職場内コミュニケーションにおいて高コンテクストの比率の絶対値にみられる企業間の差違は各社固有の社風や組織文化の影響によるものと考えられるのだが、協働者とのコンテクスト・パターンに企業の枠を越えた類似性が見られることは、職種毎に共通する文化の影響も受けていることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
震災等の外部環境の影響により調査対象企業の変更を余儀なくされたが、ソフトウェア開発企業に業種を絞り込んで調査分析を進めており、成果の学会報告も実施していることから概ね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
職場内コミュニケーションだが、職種などのワークグループや交わす内容によって企業の枠を越えた類似性があることが新たに確認された。これを基に理論モデルの精緻化を進めていき、研究の質的向上を図る。
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