2010 Fiscal Year Annual Research Report
損害保険における価格規制と競争に関する研究-保険料率規制緩和の影響を中心として-
Project/Area Number |
22530467
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
諏澤 吉彦 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (50460663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 高生 一橋大学, 商学研究科, 教授 (00175019)
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Keywords | 損害保険料率 / 規制緩和 / 市場効率性 / 計量分析 |
Research Abstract |
平成22年度においては、損害保険種目のなかで規制緩和後も事実上の統一料率制度が存続している自動車損害賠償責任保険(以下、自賠責保険という)および地震保険の基準料率制度の有効性の分析を行った。具体的には、国内損害保険会社11社の、規制緩和が行われた1996年を挟んで前後各12年間(1985年度~2008年度)の事業・財務データに基づいてパネルデータを作成し、保険会社の収益性指標を従属変数に、自賠責・地震保険料構成比および市場シェア等を説明変数に設定した生産関数をフィクストエフェクトモデルに基づいて構築し、計量分析を行った。その結果、自賠責保険については市場シェアの拡大が一貫して収益性に貢献しているいっぽうで、その構成比は規制緩和後収益性を悪化させる傾向が見られた。また、地震保険料構成比についても、規制緩和後、収益性と負の関係が観測された。この研究結果は、World Risk & Insurance Economics Congressの審査を受け、7月にシンガポールで開催された2010年大会での発表を受理された。同学会出席者からの意見・助言を踏まえ、さらに基準料率制度の存続と保険会社の契約引受けへのインセンティブの観点から検討を加え、その成果を『損害保険研究』第73巻第1号に「統一料率と保険会社のインセンティブ-自賠責保険と地震保険が経営に与えた影響-」として発表した。また、自動車保険において、かつてわが国と同様の統一料率制度を採用していたものの、その後完全自由化が行われた韓国との比較研究を行うため、Sejong UniversityのProfessor Soon-Jae Leeを中心とする研究グループとの共同研究の準備を進めた。
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