2012 Fiscal Year Annual Research Report
損害保険における価格規制と競争に関する研究-保険料率規制緩和の影響を中心として-
Project/Area Number |
22530467
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
諏澤 吉彦 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (50460663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 高生 一橋大学, 商学研究科, 教授 (00175019)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 自賠責保険 / 地震保険 / 基準料率制度 / 市場均衡モデル / インセンティブ / 保険の入手可能性 / 逆選択 |
Research Abstract |
平成24年度は、前年度までの計量分析の結果を踏まえ、とくに自動車保険および地震保険の各種目についてより詳細な分析を進め、その結果を論文に取りまとめる作業を中心に取り組んだ。自動車保険に関して、基準料率制度のもと事実上の統一料率となっている自賠責保険と、一定のリスク細分化が許容される任意自動車保険によって構成される二層構造をもつわが国のシステムの有効性を、市場衡モデルを用いて検証した。その結果、自賠責保険では保険料率を事実上統一化することで、保険カバーの価格と質に関する情報不均衡を緩和すると同時に付保強制により逆選択を防止しうること、また、任意保険においてリスク細分化を可能とすることにより逆選択の防止と保険カバーの安定供給を確実なものとしていることがわかり、現在の仕組みに合理性が見出された。両者の適切な分担領域については、内部補助を許容したプール保険料の適正価格線と、低リスク者の無差別曲線との接点において自賠責保険が供給され、それを超えた領域で分離保険料により任意自動車保険が提供されれば、保険の入手可能性を確保すると同時に逆選択を防止し得ることがわかった。地震保険に関しては、損失発生の相関およびパラメータ不確実性の高さによって地震リスクの保険可能性が損なわれている問題を一部解消するために、保険金額に上限を設けるなどの制度上の工夫がなされていることは一定の合理性を有するいっぽうで、これにより地震保険が、保険契約者にとってベーシスリスクの高いリスク移転手段となっており、今後も継続的検討が必要であることがわかった。いっぽう、地震保険が任意付保でありながら基準料率制度がとられている点に関しては、個々の保険会社に対して、他社に先駆けて事務効率化を進め、同時に多数の保険契約を引き受けるようインセンティブをコントロールする仕組みとして、制度の安定的運営に貢献していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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