2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530469
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
白 貞壬 流通科学大学, 商学部, 准教授 (60400074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥羽 達郎 富山大学, 経済学部, 准教授 (40411467)
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Keywords | 知識ベース / 資源ベース / フランチャイズ / ネットワーク組織 / 国際ネットワーク / 組織学習 / 中小フランチャイズ企業 / 日系コンビニ |
Research Abstract |
本研究の実施計画として、平成23年度は平成22年度に引き続き、小売国際化論に関するこれまでの研究蓄積を踏まえた上で、大きく3つの領域についての理論研究を深めていきながら、適宜ケーススタディ及びフィールドワークを実施することにした。第1に、知識ベースの多国籍企業化論の理論研究については、多国籍企業の存立根拠(企業の海外直接投資行動)研究の系譜を、1970年代の内部化理論(Buckley, P. and Casson, M., 1976)、1980年代の取引費用の経済学の立場(「契約の束(nexus of contract)、ラグマンら」、1990年代の知識ベースの経営資源移転論(Kogut and Zander, 1992/1993)など年代別の代表的な理論についての理解を深めた。第2に、小売企業の国際移転論・組織学習論の理論研究については、一般的な技術の社会移転問題(Cundiff,1965)から、店舗での観察可能性が高いものの、複雑でシステム埋め込み性の強い小売業に関する知識は模倣しづらいという「小売経営ノウハウの移転限界説」(Solvell and Birkinshaw, 2000)、小売企業の合弁による海外展開過程の内実を検証したPalmer(2006)の研究、小売企業の海外進出を「ネットワーク組織」の構築にあると主張されたWrigley, Coe and Currah(2005)の研究、国際ネットワーク・アプローチから「実践行為」レベルで小売国際化プロセスを分析する重要性を指摘された矢作(1994,2007)の研究までを広範囲に参照しながら、小売経営ノウハウの知識特性からなる知識ベースの小売国際化論の課題を導出することにした。第3に、知識ベースの小売国際論を向けての研究については、知識特性からなる模倣の容易さあるいは困難さの議論から脱皮し、また知識の模倣を嫌がって事前に知識の管理問題を議論するよりも、知識の模倣からなる組織学習プロセスが小売国際化行動に与えるインパクトについて検討した。 これらの大きく3つの理論研究の理解を深みながら、相互に2回の研究会を開催し、メンバー間で理論の理解および問題意識の共有を図ることにした。それに基づいて研究対象になる複数のケースを取りあげ、台湾の中小のフランチャイズ企業2社と韓国に進出した日系コンビニ各社についてもヒヤリングを行った。その研究成果を海外のワークショップと学会で発表しており、現在、論文執筆を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目に見える成果は少ないと思われるが、研究実施計画通りに理論研究の深化とフィールドワークの実施によるケーススタディは順調に進展しており、その成果は必ず平成24年度の研究実績に繋がると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本来理論化を進めやすい定性的なアプローチである事例研究において、複数ケーススタディの実施を計画していたが、ほとんど外資系企業であるためにインタビュー依頼やデータ集めが困難な状況である。まずは、できるだけ海外の研究協力者とのネットワークを広げ、リサーチイシューにしたがった仮説的構成概念を導出し、それにしたがってリサーチサイト上の複数企業に半構造化インタビューをし、データを集める。必要に応じては、調査対象企業に対して、定量的なアプローチで理論的仮説を検証しながら、定性的アプローチからの問題点を補完していくことにする。
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