2011 Fiscal Year Annual Research Report
地域ケア・システムの再編成にかんする社会学的比較研究
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22530526
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永井 彰 東北大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (90207960)
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Keywords | 地域ケア / 地域社会学 / 福祉社会学 / 高齢者ケア / 地域福祉 |
Research Abstract |
地域ケア・システムにとっての地域福祉計画づくりの意義、および地域包括支援センターの役割といった論点については、浦添市の事例が示唆的であることが明らかになった。浦添市においては、第2期地域福祉計画策定において、公募委員によるワークショップを実施し、提言書をまとめた。そのなかに、行政は小学校区にコーディネータマを配置して福祉コミュニティづくりに積極的にかかわること、との文言が盛り込まれた。この提言の趣旨は、地域福祉計画に生かされた。そして、この地域福祉計画を受けて浦添市では、中学校区単位(市内5ヶ所)に地域保健福祉センターを設置し、コミュニティソーシャルワーカー2名を配置し、またそこに、地域包括支援センターの当該校区担当職員も常駐させている。これらの専門職員は、実質的には共同で地域ケア・システムの構築にかかわっている。このセンターは、福祉の総合窓口にとどまらず、地域住民とともに福祉課題を発掘し、地域住民とともにその解決にあたるという機能を有している。 また市町村合併の影響という点においては、長野県真田町(現・上田市)の事例が示唆的であることが明らかになった。合併前から、町内の社会福祉法人が、行政と連携し、特別養護老人ホームを拠点施設としつつも、在宅介護にとりくむとともに、町内の各所にグループホームや宅老所を分散立地させることによって、独自の地域ケア・システムを構築してきた。この独自の方策は定着しているため、市町村合併による影響は少なかったが、他方において、地域包括支援センターの受託ができなかったため(かつては在宅介護支援センターを真田町から受託していた)、地域内の連携をいっそうすすめる機会が失われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の前半は、東日本大震災の影響により、交通機関が不通となったため、現地調査の遂行が難しかったが、年度後半にはそうした遅れを取り戻すことができたので、現地調査の遂行、および研究資料の収集といった面では、ほぼ順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、これまでの調査研究をふまえて、それをさらに深めるために継続的に調査をおこなうことにしたい。 また、今年度は、研究成果の発信に力点をおいて研究活動をおこないたい。
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