2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530536
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高橋 涼子 金沢大学, 人間科学系, 教授 (80262541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田邊 浩 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (50293329)
奥田 睦子 金沢大学, 経済学経営学系, 准教授 (90320895)
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Keywords | 福祉 / NPO / アドボカシー / 福祉国家 / 比較 / フィンランド / ドイツ / アメリカ |
Research Abstract |
福祉領域で活動するNPOがもつ多様な機能のうち、当事者の権利擁護と政策への参加を推進しようとするアドボカシー機能に焦点をあて、様々な福祉ニーズをもつ当事者の主体的な社会との関わり方を実現する市民社会や福祉国家のあり方を示すことが本研究の全体構想である。今年度は、 1.NPOとアドボカシー機能の関連について学際的な諸研究の系譜を整理するため、引き続き福祉国家各国の社会保障制度やNPOに関する資料を収集し検討した。特に、(1)アメリカや北欧における福祉領域のNPOとアドボカシーの制度形成過程、アドボカシー活動の事例やネットワークについて、(2)福祉をめぐる制度改革の背後にある社会構造変化について、(3)ドイツにおける障害者のスポーツクラブを通じた社会参加やクラブ運営を支える医療保険制度の概要について、それぞれ検討した。その成果は論文や学会報告、図書の分担執筆で発表した。なお、下記の研究発表中、図書の2件分(高橋が分担執筆を行ったもの)については、既に原稿提出済みであるが出版社側の事情によって出版が大幅に遅れているものである。 2.福祉領域のNPOの制度的基盤及びアドボカシー機能の発揮のあり方についての各国比較の一環として、上記1の(1)であげた北欧の状況について、フィンランドで調査を行い、障害者施策および障害をもつ当事者のNPO、障害学研究者などへのインタビュー及び資料収集を行った。フィンランドでは国内の障害者施策の作成プロセスにNPOが積極的に関わっているとともに、現在、国連の障害者権利条約の批准に向けた国内の制度の改定が行われており、そのプロセスにはNPOも積極的に働きかけアドボカシー活動を行ってきていることが確かめられた。こうしたアドボカシー機能の発揮を可能にする政策決定過程の形成、福祉先進国といわれる北欧諸国間の共通性および各国の特色については、この調査で入手した資料を分析中であり、次年度に学会報告、論文執筆を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より計画していた、具体的領域として障害者福祉領域を取り上げて研究を進めるという方針のもと、福祉国家の類型ごとの分析対象であるアメリカ、ドイツ、北欧(フィンランド)について、順調に資料収集と分析が進んでいること、福祉国家におけるNPOのアドボカシー機能の普遍化と比較に向けての準備が整ってきたことから、おおむね順調に研究の目的を達成していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
各国の調査の結果を研究者間で持ち寄り、福祉国家におけるNPOのアドボカシー機能の普遍化と比較に向けての検討を進めていく。
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Research Products
(8 results)