2011 Fiscal Year Annual Research Report
オンライン/オフラインの社会関係資本が大学生の就職に及ぼす効果に関する調査研究
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22530545
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻 大介 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (50292785)
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Keywords | 社会関係資本 / 就職 / 情報行動 / インターネット / 携帯電話 / 対人ネットワーク |
Research Abstract |
平成23年度は、3波にわたるパネル調査の第1波調査を、就職活動最初期である11月下旬~1月にかけて実施した。対象は5大学6学部の3年次生であり、全体サンプル(調査協力者)は7ユニットに分けて構成され、同一学部内の異なる専攻間の比較、同一大学内の異なる学部間の比較、同一地域内の異なる大学間比較(国公立-私学、入学難易度の別等)、異なる地域の大学間比較が可能となるように設定された。有効回収票は760ケースである(第2波調査はこの有効回収ケースを対象におこなう)。 就職活動および内定状況にどのような要因が影響・関係するか、またその因果関係構造に集団(大学・学部)間でどのような共通性と相違がみられるかを明らかにすることが本調査の目的であり、その点を分析するには、第2波および第3波調査を待たなければならないが、今回の第1波調査データを予備的分析にかけた結果からは、学生生活の状況、就職活動への態度・準備状況、インターネットやモバイル機器の利用状況、交友状況、社会関係資本項目、等について、単純集計レベルおよび各項目の相関レベルにおいて、集団(大学・学部)間で違いがみられることが確認された。つまり、就職活動に臨もうとする時点の段階で、就職活動の成否に関わると思われる潜在的な資本(ICT活用能力や社会関係資本等)に差が認められるのであり、これら初発時点での差が実際にどう就職活動の成否に関係するのか、また就職活動を通してこれらの能力や社会関係資本がどう変化するのかを分析することが第2波以降の調査の目的である。 今後、データクリーニングを進めた上で、第1波調査のより詳細な分析をおこない、その結果は大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室『年報人間科学』33号に掲載する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付金額が申請額よりも減額されたため、調査計画の変更を余儀なくされた上、最終的な交付金額の決定が年度半ばまでずれこんだためにサンプルサイズ(調査協力者数)の決定も遅れざるをえなかったが、調査準備作業を集中しておこなうことによって、当初予定していた実査期間より半月程度遅れで第1波調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は第1波調査協力者760人を対象に、第2波調査をおこない(11月実査予定)、第1波-第2波のパネルデータにより、就職活動および内定状況に影響する要因を分析する。平成23年度の交付金額が申請額より減額されたため、当初予定していたマルチレベル分析をおこなうだけのサンプルサイズを確保することはできなくなったが、大学属性(地域、入学難易度等)を考慮して調査対象大学生の選定をおこない、主立った比較分析軸を設定することができたため、当初意図していた知見はある程度得られるものと見込んでいる。
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