2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530579
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
坂田 正顕 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00063800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 攻一 早稲田大学, 文化構想学部, 教授 (10120908)
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Keywords | 文化・社会意識 / 宗教儀礼研究 / 国際社会・エスニシティ / 社会構造・変動論 |
Research Abstract |
2011年度は、前年度の作業((1)理論的研究、(2)動向把握事前調査、(3)外国人遍路調査設計、(4)地元エージェント調査)結果を踏まえて、基本的には、当該年度の研究計画に沿って以下に掲げた研究作業を実施した。しかし、3月の東日本大震災の影響を受け、当初予定した3月調査開始は実施不可能となり、その後、現地の状況や遍路動向などを吟味して、調査期間を5月~11月末に設定しての調査となった。また、以下2)の一般遍路調査を、諸種の状況に鑑みて、同様の方法にて、同時並行的に追加的に実施するにいたった。 1)外国人遍路調査の実施(14地点留め置き調査)と統計処理 2)一般日本人遍路調査の実態(同上)と統計処理 3)地元エージェント調査の継続 1)の外国人遍路調査に関しては、東日本大震災の影響により、この数年の外国人遍路の大幅増加の傾向にストップがかかった。とくに放射能汚染問題は、一般の来日外国人観光客の激減現象と同様に、訪日/在住の外国人遍路の極端な減少を招き、その結果、調査票回収が当初の予想に遠く及ばないものとなった(今後の研究の推進方策参照)。 2)96年データとの比較、および、外国人遍路との比較という2点から追加的に集施した一般日本人遍路調査は、作業的・費用的には、それほどの負担もなく実施された。震災により、一般日本人遍路も当初は例年よりは相当程度減少したものの、2月時点では、かなりの回復を見せ、回収調査票も外国人遍路のケースよりははるかに多かったものの、96年実施時の規模と比べると回収規模の減少は否めない。統計処理は終了し、分析中である。 3)地元エージェント調査に関する継続作業は、計画通り実施され、質的調査結果を取りまとめ中である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災による遍路数の減少問題(とりわけ、外国人遍路の激減問題)を除けば、当初予定外の追加調査(「一般日本人遍路調査」)も実施でき、また、当該年度計画予定の「調査実施と統計処理」に関する研究作業はすでに終了している。二の点では、順調に推移していると思われるが、外国人遍路の大量観察については、回収票のオーダーが当初予定を大幅に下回っているため、補足的作業を目下検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記達成度評価欄において記述した通り、震災による外国人遍路の激減により、外国人遍路の量的観察の妥当性が保証されない状況にある。そのため、現在、対応策として、1)今回調査回収票の対象者への質的調査の実施、2)web調査による外国人遍路統計調査の設計・実施、3)外国人遍路の遍路記テキストの内容分析、4)その他、などを、模索中である。小規模な回収票水準でも、すでに、本研究が目指している巡礼文化のグローバル化に関するいくつかの重要な論点・課題は抽出されつつあり、これらとの突合せにより、対応策の選定/実施を本年度初旬末までには、決定する予定である。
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