2010 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュの船舶リサイクル過程に関する実証的研究
Project/Area Number |
22530586
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
佐藤 彰男 龍谷大学, 社会学部, 教授 (70249514)
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Keywords | リサイクル / バングラデシュ / 発展途上国 / 労働問題 / 環境汚染 / 解撤 |
Research Abstract |
本研究は、バングラデシュにおける大型商用船泊のリサイクル過程全般を対象として、実証的な研究を試みるものである。本年度はリサイクル過程のうち、主として解撤および伸鉄に従事する労働者への、インタビュー調査を実施した。 解撤労働の概要については、不充分ながら、すでにある程度の研究蓄積が行われている。しかし実際の解撤作業は、溶断や機械類の分解・取り外し、運搬・荷積みなど、多岐にわたる業務から構成されており、労働者の職掌は非常に固定的である。また当然のことながら、職種ごとに労働時間や報酬、作業の危険度等も大きく異なる。本研究では、それら種々の職種に携わる労働者に対して、インタビューを行うことで、解撤労働のより具体的な実態や問題点を明らかにすることが可能となった。 そのような解撤作業によって船舶から採取された船体鋼板の大部分は、伸鉄の工程を経て、建築資材等として再利用される。伸鉄工場における労働の実態については、既存研究がほとんど皆無といえる状況である。従って、本年度のインタビューは、予備的調査の色彩が強いものであったが、この段階でも多くの事実が見いだされた。例えば、伸鉄工場の労働者についても、鉄材を炉に投入する工員や圧延作業に従事する工員など、職種が非常に細分化されていること、解撤工の大半は地方出身者であるのに対し、伸鉄工の多くは地元出身者であること等々である。これらの知見は、次年度以降に、本格的な伸鉄過程および関連労働従事者に対する調査を開始するにあたって、有用な予備知識となるはずのものである。
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Research Products
(2 results)