2010 Fiscal Year Annual Research Report
リスク等数量情報を含むコミュニケーションで関与度や情動が態度変容に与える影響
Project/Area Number |
22530681
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
広田 すみれ 東京都市大学, 環境情報学部, 准教授 (90279703)
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Keywords | リスクコミュニケーション / 二重過程モデル / 数量情報 / インターネット調査 / 情緒 |
Research Abstract |
本年度は主に確率を中心とした数量的情報の伝達について、確率の計算根拠によるさまざまな種類を明らかにした時に受け手の判断や意思決定に生じる影響に関して実証研究として大学生による評価実験の結果を分析し、その結果を日本心理学会大会、環境科学会で発表した。 また一方応用的な側面として、工学や環境科学の領域では技術が伴う不確実性を確率で評価していることが多いが、ここにどのような種類が存在しているのかを文献研究や工学者との議論を通して検討、これらの現実に利用されている確率をリスクコミュニケーションで伝達できる可能性について考察し日本リスク研究学会、日本環境心理学会で発表した。 また現在確率を用いたリスクコミュニケーションについては先行研究として海外で、主に情報の聞き手の数的能力(numeracy)の影響が指摘されているが、これらについてPsychonomic societyや米国意思決定学会の大会への参加と文献収集を通して検討を行い、今後利用する数的能力の測定手法の質問項目などについての知見を得た。 以上のような活動に基づいた成果をまとめ、工学・環境科学などでの確率のリスク情報としての確率の使用状況、確率の哲学的解釈、確率に関する意思決定研究での議論とその解釈(Gigerezerらによる、ヒューリスティック研究の批判)を考察・レビューして、確率の種類(頻度説、傾向説、認識論的確率)による影響の可能性を指摘し、さらにそれらの種類の違い別にリスクに関するコミュニケーションで必要となるサポートとなる可能性のある変数(確率の種類、送り手の性質や数に関する情報、計算根拠となる頻度の情報など)をレビューとしてまとめ投稿した(現在審査中)。 なお、平成23年度に実施する実験の準備として情緒を実験的に制御するための手法について情報収集し、写真による方法、POMS TESTの利用可能性についての検討を行った。
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