2011 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの思考に基づいたカリキュラム構成による教授介入:割合概念の場合
Project/Area Number |
22530699
|
Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
栗山 和広 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (10170094)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 甫 立命館大学, 文学部, 教授 (80094085)
高垣 マユミ 実践女子大学, 生活学部, 教授 (50350567)
|
Keywords | 教授法 / 子どもの思考 |
Research Abstract |
平成22年度に、割合概念について、子どもの思考を基にしたカリキュラム構成による教授介入の実験を行った。そこでは、(1)子どものもつインフォーマルな知識をカリキュラムに組み込む、(2)新しい概念を学習する際の認知的障害を考慮するという、視点を取り入れた教授介入を行った。その結果、実験群は、見積もり方略や図の使用や倍数関係を用いた方略といった多様な方略で問題を解いていたが、統制群は公式の使用による問題解決がほとんどであった。さらに、割合概念の理解を問う関係問題において、実験群は統制群よりかなり高い正答率を示した。こうしたことにより、子どものインフォーマルな知識を利用したカリキュラム構成による教授介入は、割合概念の理解を促進させることが示された。平成23年度は、割合概念を学習して7ヶ月経過した後においても、インフォーマルな知識に基づく教授介入の効果が持続しているかについて、割合の3用法の解決課題、作図課題、関係課題、割合の理解問題、を用いて検討した。その結果、作図課題において、適切な図を描いた子どもの正答率は、実験群が61%、統制群が21%と、実験群はかなり高い正答率を示した。また、割合の理解課題においても、実験群は40%、統制群は21%と実験群は高い正答率を示した。割合の理解課題において、正答した子どもの方略について分析したところ、実験群は熟達者の方略とも言うべき推論方略を多く用いていたが、統制群は初心者の方略といえる計算方略を多く用いていた。また、関係課題においても、実験群は統制群より高い正答率を示した。これらのことから、実験群は割合概念の基本となる量的な意味を正確に理解していることが示された。それに対して、統制群は割合概念について、計算に関した手続き的知識として理解していることが示された。こうして、子どもの思考を基にした教授介入は、割合概念の理解を大きく進化させることが実証された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度に、予定通り実験を実施した。平成23年度は、統制群について補足の調査を実施した。現在、データの分析を実施しており、総括的なまとめを進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
予定していた実験は終了しており、統制群の補足の実験についても予定通り実施可能な状態である。研究計画の変更はない。分析を進め、まとめたものを公開していく。
|
Research Products
(3 results)