2011 Fiscal Year Annual Research Report
幼児を対象とした発達性読み書き障害児のスクリーニングテストの開発
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22530726
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
池田 泰子 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 助教 (90387514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 さつき 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 講師 (10454307)
中野 泰志 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (60207850)
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Keywords | 発達性読み書き障害 / スクリーニングテスト / 幼児 |
Research Abstract |
幼児期における発達性読み書き障害児をスクリーニングするために、先行研究で読字障害児が苦手であると報告されている課題を幼児にも実施できる課題に置き換え、予備調査を行った。【方法】埼玉県の保育園2園に通う4歳~6歳の園児103名を対象とした2011年12月と2012年3月に言語聴覚士2名と言語聴覚士養成校学生4名が保育園を訪問し、空き教室にて個別に調査を実施した。調査の内容は「両眼視覚機能」「視覚認知能力」「聴覚記銘力」「音韻認識・構音の獲得の有無」を測定するために標準化されている検査や幼児用学習ドリルの一部を引用し、23課題を実施した。【結果】1)6歳代でも通過率が80%以下の課題と全員が達成した課題は分析の対象から外した結果、18課題が残った。両眼視覚機能では「両眼視覚機能(上下・左右の追従)」、視覚認知能力では「動物の家」「マトリックスの丸の位置」「どの折り紙から切り抜かれた形かを判断」「見本絵を見て不足箇所を付け加える」「文字形のマッチング」」「四角構成」「WISC-IIIの符号に似た課題」「木の葉に紛れている動物を探す」「同じ絵を探す」「間違い探し」、聴覚記銘力では「聴理解」「2単語の復唱・逆唱」「3音節の復唱」、音韻認識・構音では、「絵と音数記号のマッチング」「13の丸」。2)音韻認識の未獲得児は2名、未獲得の構音がある児は15名。3)「符号課題」で各年代平均値-1.5SD以上の53名中「動物の家」の評価点6点以下が3名。4)音韻認識獲得の有無と関係している課題は「絵と音数記号のマッチング」、構音獲得の有無と関係している課題は「絵と音数記号のマッチング」「短文復唱」「3音節の復唱」。【まとめ】「動物の家」と「符号」では必要とする能力が異なる可能性が示された。構音の獲得には音韻認識と聴覚記銘力が関係していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備調査によりスクリーニングテストの項目が絞られ、予定通りに最終年度に本調査を実施できる準備が整ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2011年度は予定通りに進んだため、2012年度も予定通りに実施する。2012年7月に発達性読み書き障害を早期発見するシステムと方法についての先進国であるアメリカを視察する。2012年8月に昨年度実施した予備調査結果とアメリカでの調査結果を踏まえ、「スクリーニング検査」を完成させる。2012年9月~2013年1月に健常幼児3歳50名、4歳50名、5歳50名、6歳50名、計200名を対象に作成した「スクリーニング検査」を用いて本調査を実施する。2013年2月はデータを分析する。2013年3月は保育園・幼稚園の先生向けのシンポジウムを企画し、調査結果を公表する。
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