2011 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害当事者とその家族における発達支援ニーズに関する語りの発達心理学的研究
Project/Area Number |
22530729
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
竹内 謙彰 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (40216867)
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Keywords | 発達障害 / 当事者 / 特別なニーズ / インタビュー / 質的分析 |
Research Abstract |
本研究は、発達障害を持った当事者(青年期以降)とその家族、ならびに現在学齢期にある発達障害児を持つ家族にインタビューを行い、発達の時期ごとの多様なニーズを掘り起こしつつ整理することを企図したものである。第2年度の実績は以下の通りである。発達障害(その中心は高機能自閉症スペクトラム障害;以下HF-ASD)を持つ青年・成人の母親12名のインタビュー記録である発話プロトコルに対する修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(以下、M-GTA)を用いた分析結果を発達心理学会の年次大会(2012年3月)で発表するとともに、現在、分析結果を論文化したものを学術誌に投稿中である。なお、家族の語りを集めるため、当事者の親の協力を依頼していたが、協力者が得られたのは結果的には母親のみであったため、母親を対象とした分析とした。また、HF-ASD当事者8名に対するインタビュー結果の分析も現在進行中である。分析では、母親の場合と同じくM-GTAを用いるとともに、母親の語りとの比較検討も行っている。24年度のできるだけ早い時期に分析を終えて関連学会での発表を行うとともに、学術誌への論文投稿を行う予定である。なお、当初の予定では、当事者データの収集も10ケース以上を目標としていたが、母親のインタビューは得られても当事者の協力は得られないことがあったため、8名で一旦区切りをつけて分析を進めることとしたものである。発達障害を持つ学齢児の保護者を対象とするインタビューについては,すでに共同研究においてデータの収集を終えて一定の分析も行っている。なお、先行研究に関するレビューを何らかの形でまとめて公表することも23年度の計画には含めており、実際、ある程度までまとめて文章化を進めたが、インタビュー研究の分析を優先すべきと判断し、レビューについては急がないこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の到達目標は、インタビュー調査に協力いただける発達障害者とその家族10組程度を見いだし、生育史を含めた特別なニーズに関するインタビューを行って分析を進めることであった。2011年内に、ほぼその目標は達成し、家族(母親)のインタビューのプロトコルに基づく質的分析をまとめた学会発表を行うことができ、現在、投稿論文としてまとめつつある。さらに、当事者インタビューも現在分析を進めている。以上より、「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに質的な分析に必要な人数のインタビューは行っており、その中でも当事者の母親に対するインタビューについては分析を完成したので、今後は、当事者のインタビューについての分析に焦点を当てて研究を推進していくこととする。その分析に際しては、母親の語りとの対比を一つの手がかりとしたいと考える。また、あわせて、支援者に対する支援のポイントに関するインタビューや定型発達者の生育史に関するインタビューも収集しており、それらの分析も合わせて進めることとなる。分析のための集中した時間の確保が重要である。また、質的分析を進める上でのソフトウエア-の利用も進めたい。発達障害を持つ学齢児の保護者を対象とするインタビューについては,すでに共同研究においてデータの収集を終え,一定の分析も行っているので,今後,こうした成果を青年期後期~成人期の子どもを持つ母親の結果と比較検討の分析を進める。なお、当初の計画以上に分析が早く進むようであれば、当事者へのインタビューをさらに増やすことも考慮したい。
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Research Products
(1 results)