2012 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害当事者とその家族における発達支援ニーズに関する語りの発達心理学的研究
Project/Area Number |
22530729
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
竹内 謙彰 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (40216867)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 当事者 / 高機能自閉症スペクトラム障害 / インタビュー / 特別なニーズ / 質的分析 |
Research Abstract |
高機能自閉症スペクトラム障害者に対する適切な発達支援を作り上げていくための基礎資料とするため,当事者とその家族に対するインタビューの語りを発達的観点から分析し,ニーズの諸相を詳細に明らかにしてゆくことが,本研究の目的であった。当該年度は、それまでの分析に基づき成果を論文等にまとめることに注力した。 当事者とその母親のニーズの重要な共通点のひとつとして,障害理解を求める要望が見出された。当事者においては「理解してほしいという要望」が,母親においても「多様性を含めたASDの特性理解の要望」がそれぞれ,その他のカテゴリーとつながりを持つ重要なカテゴリーを構成していた。 母親と当事者で,就労のニーズは共通しているが,自立のニーズの切実さは母親においてより顕著であった。当面の就職あるいは就労の継続という課題が前面にある当事者に対して,母親は将来展望を踏まえたニーズを持っていると言える。自立にかかわるニーズについては,母親の分析で抽出された「自立した生活を支えてくれる人とシステムの要望」が重要と考察された。具体的にどのような支援が求められるかを整理すると,住む場所の確保,職場や家族以外の人間関係の形成,余暇活動へのサポートなどがあげられる。さらに,当事者自身が取り組むべきものとして,ライフスキルの向上がある。ただし,障害特性から獲得が困難なものについては,それをどう補うか(個人・団体の支援を受ける,補助的な道具や機会を利用するなど)の工夫も必要になってくるだろう。 研究当初,児童期後期から思春期にかけて対人関係上の危機が深まることが明らかになるのではないかと予想されたが、必ずしもその時期に集中して困難や問題についての語りが多かったわけではなかった。ただし,いじめに関するエピソードはこの時期に多く,また,他者と異なっていることに気づかされた時期であることを述べた当事者もいた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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