2010 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠・出産にリスクのある夫婦の抑うつに関する縦断的研究
Project/Area Number |
22530731
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安藤 智子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (90461821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福丸 由佳 白梅学園大学, こども学部, 教授 (10334567)
無藤 隆 白梅学園大学, こども学部, 教授 (40111562)
菅沼 真樹 東海大学, 文学部, 講師 (40453708)
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Keywords | 産後抑うつ / 夫婦関係 / ワークライフバランス / 低出生体重児 / 生殖医療 / 縦断研究 / 父親の抑うつ |
Research Abstract |
A県総合周産期母子医療センターにおいて、妊婦791名とそのパートナー580名の承諾を得て妊娠期からの精神的健康状態(EPDS)、夫婦関係、自尊感情、ソーシャルサポート、就労等をたずねる質問紙を妊娠中、産後5週、3カ月、6カ月、1年と順次送付している。 途中までのデータ分析では、妊娠中の母親自身の抑うつ得点は、出産経験、就労形態、家族形態で、妊娠までの期間、妊娠の経緯で、有意差が認められなかった。就労選択の葛藤、胎動の認知において有意な差が認められ、妊娠を肯定的に受け止められるかどうかが、妊娠中の抑うつに関連していることが推測される。また、EPDS得点で区分点を上回った割合が22.5%で、産後5週時は7.2%であった。先行研究と同様に妊娠期の抑うつの割合が高かった。 自然妊娠群と不妊治療では妊娠中の抑うつは自然妊娠群の方が、不妊治療より有意に高かった。不妊治療を経て妊娠したことは、妊娠を肯定的に受けとめることにつながり、妊娠の喜びもあったことが推測される。また、不妊治療を受けることで、医療者スタッフからの精神的なサポートも抑うつのリスクを減らす要因になっていることが推測される。 抑うつは、産後に母親は下がり、父親があがっていた。対象人数が少なく結果は限定的だが、妊娠中から産後までのスクリーニング、フォローアップは、母親を対象に行われており、母親の抑うつの減少に寄与しているが、父親は介入対象となりずらく、産後の抑うつに寄与しなかったのではないかと推測された。これは、母親の抑うつが父親の抑うつにつながるとする先行研究とは逆の結果であり、更にデータ数を増やした分析をしたいと考える。 引き続き、どのような方の抑うつが高いのか、夫婦の一方の抑うつが、パートナーへ影響するのか、低出生体重児の親と通常の体重児の比較、不妊治療と自然妊娠群の比較などの分析を、データが集まり次第順次行っていく。
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Research Products
(2 results)