2011 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠・出産にリスクのある夫婦の抑うつに関する縦断的研究
Project/Area Number |
22530731
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安藤 智子 筑波大学, 人間系, 准教授 (90461821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福丸 由佳 白梅学園大学, こども学部, 教授 (10334567)
無藤 隆 白梅学園大学, こども学部, 教授 (40111562)
菅沼 真樹 東海大学, 文学部, 講師 (40453708)
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Keywords | 父親の抑うつ / 母親の抑うつ / 低出生体重児 / 受胎年齢 / 養育態度 / エジンバラ産後抑うつ尺度 / ハイリスク出産 / 縦断研究 |
Research Abstract |
A総合周産期母子医療センターで出産をした研究協力者790名とそのパートナー580名を対象として、妊娠期、産後5週、3カ月、6カ月と郵送による質問紙法によって縦断的に調査を行った。抑うつ(エジンバラ産後うつ病質問票;EPDSと略す)、養育態度、夫婦関係等についてたずねた。子どもの出生体重は、1000g未満4名、1000-1500g未満6名、1500-2000g未満38名、2000-2500g未満182名、2500g以上591名、双子は90名であった。 妻、夫のEPDS得点に有意な差は認められなかった。EPDSの区分点を超えた割合は、妻妊娠中11%(145名)、妻産後5週4%(53名)、妻産後3カ月2.4%(31名)、妻産後6カ月2.5%(33名)、夫妊娠中3.3%(43名)、夫産後5週2.7%(36名)、夫産後3カ月2.4%(32名)、夫産後6カ月1.6%(21名)であった。出生体重2500gで2群に分けたグループ間には、妻、夫ともに、EPDSの得点および区分点を超えた割合に、有意な差は認められなかった。また、保健センターや産婦人科などで研究依頼をした(安藤,2009)データと今回の調査を比較すると、ハイリスクと考えられる周産期センターのEPDS得点が産後有意に下がっていた。Aセンターでは助産師、看護師、心理士などの介入が妊娠中、産後と続けられていることが一因と推測された。 一方、出生体重で分けた2群で有意な差が認められたのは、妻の養育態度で、2500g未満の群が2500g以上の群に比して、産後5週の肯定的な養育態度得点が低く(t(462)=2.73,p<.01)、産後3カ月(t(422)=2.38,p<.05)、6カ月(t(382)=2.22,p<.05)の否定的養育態度得点が高かった。出生体重が低い群の方が、「つねる」「乱暴に抱く」などの不適切な養育態度が産後3カ月、6カ月に高くなる傾向が認められた。また、夫と妻の抑うつの相関が高いのは、2500g以上では5週であり、2500g未満は3カ月で子育てのスタートの違いや、子どもの受胎年齢の違いにより、子どもからの父母への働きかけの開始時期の影響の関与が推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力者は十分得られた。縦断研究であり、現在分析しているデータは、産後6カ月までのデータである。23年5月に産後1年のデータが最終的に回収される。これまでの進展は順調であり、産後1年までの分析には、回収後にとりかかる。
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Strategy for Future Research Activity |
縦断研究を継続し、3年、4年、5年と郵送による質問紙法による追跡調査を実施する。 研究対象の中の特定のグループに対するインタビュー、あるいは観察研究を実施する。 縦断研究であるために、ドロップアウトがあるが、依頼時に発達に関するリーフレットなどを入れることなどで、調査への継続的な参加を動機づける。
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