2010 Fiscal Year Annual Research Report
児童養護施設における心理療法効果測定とケースフォーミュレーション・プログラム開発
Project/Area Number |
22530748
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岡 昌之 首都大学東京, 人文科学研究科, 名誉教授 (00092164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
妙木 浩之 東京国際大学, 人間社会学部, 教授 (30291529)
村松 健司 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (00457813)
金丸 隆太 茨城大学, 教育学研究科, 講師 (30361281)
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Keywords | 児童養護施設 / 虐待 / 施設心理職 |
Research Abstract |
1.目的:本研究では、心理職の主な役割である「心理支援(心理療法)」に焦点を当て、施設心理職の状況とキャリアモデルを考察する。 2.方法:全国579ヶ所の児童養護施設に「児童養護施設における心理療法の状況調査」を郵送、心理職に記入を依頼した。調査時期は2010年11月から2011年1月、心理職未配置との連絡があった11施設を除く265ヶ所の施設(回収率46.6%)から384名の回答があった。 3.結果と考察: (1)心理職の属性 施設心理職の年齢は平均31.9歳(標準偏差7.69)、56.8%が常勤職(男性39.3%、女性60.7%)であった。児童福祉施設平均勤務年数は4.4年、心理臨床歴は6.0年、全体の約半数(49.7%)は20代であった。 (2)常勤と非常勤の差異について 心理面接に関する調査では、「感情の起伏が激しい」で、常勤よりも非常勤の認識の強さが明らかとなった(p<.05*)。また、「子どもの状態のわかりにくざ」「子どもからの暴力」「面接備品の持ち出しや破壊」で、非常勤者と比較して常勤者が有意に高かった(p<.001)。日常生活場面での様子を聞く機会の多い常勤者は、子どもの感情の揺れに対して比較的客観的な視点を持てるのかもしれないが、常勤であるがゆえに子どもの暴力や面接備品の破壊には、施設職員という立場から敏感にならざるを得ないものと考えられる。 (3)施設心理職のキャリアモデル 常勤者の経験年数別の比較を見ると、心理職の志向性が「個別面接→集団面接→家族面接」と推移していることがうかがえる。ファミリーソーシャルワーカー(FSW)導入後、家族面接はFSWが担っている施設も少なくないが、「個から家族を含む集団へ」という視点の移行は、施設心理職のキャリアモデルになると考えられる。
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