2010 Fiscal Year Annual Research Report
臨床動作法における体験と生理過程の関連性に関する研究
Project/Area Number |
22530751
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Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
窪田 文子 いわき明星大学, 人文学部, 教授 (20195506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末次 晃 いわき明星大学, 人文学部, 准教授 (40324892)
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Keywords | 臨床心理 / 臨床動作 / 生理指標 / 体験 |
Research Abstract |
臨床動作法は,身体への働きかけを媒介として心理状態を良い方向へと変化させるところに特徴がある。その心理面へ効果をもたらす仕組みを理解するために,本研究では,心理面および身体への効果が生起する時間的なタイミングに着目し,臨床動作法実施時の主観的な体験の変化と生理反応の変化とが時間軸上でどのような対応関係にあるかを調べた.実験では,臨床動作法の基本課題のひとつである「躯幹ひねり」を実施しながら,生理指標として課題で動かす部位の筋電位,指先脈波,皮膚電位反応,指先端表在温度を時系列的に測定した.また,主観的体験として,動作課題実施者が課題に係わる筋肉の弛緩を検知する度に,参加者に身体の感じが変化したかどうかを尋ね,その時点での各種生理指標の変化との時間的対応付けを行った.その結果,(1)課題に係わる筋肉の筋電位低下と主観的言語報告が時間的にほぼ一致する場合,(2)実施者が筋の弛緩を検知したときに,筋電位も低下し筋生理指標からは筋の弛緩が示されているが,その変化を参加者が報告できない(分からない,変わっていない等)場合,(3)逆に明かな筋電位の低下が認められないにも係わらず,身体感覚の変化(筋肉の弛緩等)を報告した場合とが確認された.以上の結果から,身体感覚に関する主観的体験と生理指標の変化とが乖離することがあり得ることが示唆される.それらが一致する,あるいは不一致となる条件を明らかにすることが次の課題である.
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