2011 Fiscal Year Annual Research Report
臨床動作法における体験と生理過程の関連性に関する研究
Project/Area Number |
22530751
|
Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
窪田 文子 いわき明星大学, 人文学部, 教授 (20195506)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末次 晃 いわき明星大学, 人文学部, 准教授 (40324892)
|
Keywords | 臨床心理 / 臨床動作 / 生理指標 / 体験 / 長期的変化 |
Research Abstract |
動作法の反復実施(8セッション)により主観的体験および生理反応がどのように変化していくかを調べた。生理反応では(1)8セッションにわたる明確なトレンド:脈波と表在皮膚温は単調減少,脈拍数とスキンコンダクタンスは単調増加を示した。(2)各セッション内での生理反応変化パターンが変わる:各セッションでは,動作法実施前-動作法実施(計3回)-実施後の安静状態の計5回生理反応を測定したが,脈波の場合,初期のセッションでは,動作法を3回実施することで,数値が低下し,終了後安静時にベースラインまで回復するパターンを示したが,最終セッションではベースラインから単調に減少するパターンへと変化すること,が分かった。 弛緩に対する気づき方という主観的体験内容に関しては、8セッションにわたって概ね以下のように変化することが観察された。(1)初期の段階で、緊張が緩んだ時、「力が抜けた、ほぐれた、からだが曲がって行く」と報告し、弛緩した後に、それに対する気づきがみられる。(2)数セッション後には、「自然に力が抜ける、柔らかくなった感じ」と書う報告が増え、弛緩感が深まり、確実になってきている様子がうかがえる。(3)その後には、「力をぬくと自然にからだが動く、深呼吸をするとストンとからだが下がる」という報告がみられ、弛緩に向けて努力している様子がうかがえる。(4)8セッション頃になると「力をぬくと窮屈な感じがなくなった、力が抜けるなって感じがする」という報告が出現し、弛緩に対する操作感を得てきていることがうかがえる。以上から、自己弛緩を学習する中で、弛緩の身体感覚により敏感になり、弛緩するために主体的な努力を始め、意図して弛緩することができるという操作感を獲得してきている経過を観察できた。本年度は、長期にわたる弛緩学習のプロセスに関して、内的体験のプロセスと生理的反応の変化に一定の傾向がみられることを明らかにすることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、一人の参加者が週に1回,8週に渡り実験に協力する手続きで実験を実施した。長期にわたる実験であることは事前に説明していたが,諸事情により実験途中で協力を断ってきた参加者もあり,その都度実験協力者を追加し,実験を初めからやり直さざるを得ないことがあったため,当初予定より実験実施期間が長くなり,実験終了時期の遅れが生じた。その結果,得られたデータを詳細に分析する段階まで至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である次年度は、自己弛緩の学習の経過に関して、内省報告でとらえた弛緩に対する気づきの内容と生理的反応の付き合わせを行い、気づきと生理的反応との間の一致やズレの様相を明らかにすることで、自己弛緩の学習プロセスについて多面的に理解する。
|