2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本における複雑性悲嘆のケア・治療システムの構築化に向けた課題の検証
Project/Area Number |
22530778
|
Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
瀬藤 乃理子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 准教授 (70273795)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 幸弘 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (00368416)
黒川 雅代子 龍谷大学短期大学部, 社会学部, 准教授 (30321045)
|
Keywords | 複雑性悲嘆 / ケアシステム / 遺族 / 子どもの死 / 外傷的死別 |
Research Abstract |
平成23年度は、当該研究課題に関わる以下の5つの調査・研究・報告(研究成果の還元)を進めた。 1)子どもを亡くされたご遺族の支援の課題を検証するための小児科医への調査とデータ解析 平成23年度は、新生児医療に関わる医師363名と、神経難病などに関わる小児神経専門医348名に調査用紙を配布し、ご遺族への支援経験や遺族支援に対する意識などを調査した。237名より返信があり、データの解析をほぼ終えた。遺族ケアを実際に行い、関心のある小児科医師が多い反面、技術や情報の不足や若手医師の共感性疲労という問題が浮かび上がり、研修制度の充実が必要であることが判明した。 2)精神科医などの専門家への調査用紙の作成 子どもを亡くされたご遺族の支援に対して、専門家の立場から、現在までの支援の経験やその必要性などを調査するための調査用紙を作成した(倫理委員会承認済み)。実際の調査は平成24年度に行う予定。 3)外傷的死別へのケアに関する文献収集及び海外視察 医療現場での複雑性悲嘆以外の問題、例えば災害時などの遺族支援の課題の整理のため、外傷的死別に関する文献を収集を行った。また、海外の遺族支援の状況を知るために、平成24年3月にアメリカでの状況を視察した。 4)外傷的死別後に遺族に対して情報提供を行うウェブサイトの立ち上げとコンテンツの作成 平成23年の震災を契機に、複雑性悲嘆を予防するために必要な情報を整理し、コンテンツを検討し、12月に「震災で大切な人を亡くされた方を支援するためのウェブサイト」を立ち上げた。このサイトの内容は災害時だけでなく、医療現場での遺族支援にも役立つように配慮した。 4)複雑性悲嘆研修会の開催 平成23年9月と平成24年3月の2度にわたり、複雑性悲嘆研修会を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究を進めていく経過の中で、複雑性悲嘆の支援の課題を検証する際に、医療現場での看取りにおける課題と、災害・事故なおどの場合の課題を整理する必要性があるとわかった。そのため、本年度はその両者の課題を整理する取り組みを始めたため、支援の課題の全体像がよりクリアにすることができた。その一方で、当初予定していた精神科医の調査が24年度にずれこんでおり、早急に進めていきたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
医療現場での支援の課題においては、24年度は精神科医や心療内科ら、専門家への調査を進めていく。また、突発的な外傷的な死別での支援の課題に関しては、それに関わる被災地の支援者からの情報収集を行いたいと考えている。本年度は研究代表者(瀬藤)が半年間、国内研究員として本研究に専念できるため、今年度行う予定の調査や研究の結果も含め、日本における複雑性悲嘆の支援システムの課題を明らかにしていきたい。
|
Research Products
(14 results)