2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本における複雑性悲嘆のケア・治療システムの構築化に向けた課題の検証
Project/Area Number |
22530778
|
Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
瀬藤 乃理子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 准教授 (70273795)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 幸弘 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (00368416)
黒川 雅代子 龍谷大学短期大学部, 社会福祉学科, 准教授 (30321045)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 複雑性悲嘆 / 遺族支援 / ケアシステム / 子どもの死 / 外傷的死別 |
Research Abstract |
本年度は、以下の3つの成果をあげた。 1)医療現場での複雑性悲嘆の支援の現状を把握するために実施した小児科医への調査結果を論文にまとめた。調査結果としては、医療現場にいる多くの小児科医が、子どもを亡くすことによる遺族の心理的回復の困難さを認識しており、弔問・相談といった形で、実際に何らかの遺族の支援を行っていた。複雑性悲嘆が危惧されるご遺族が「いた」という回答が4割にのぼり、また「わからない」という回答が3割あった。このことから死別後の支援において難渋するケースが多くいること、そして回復のリスクの判断が難しい現状がわかった。また、半数以上の医師が、遺族支援により疲労感が増大し、非常に高い頻度で「自分もつらくなる」と感じていた。その対処や対策は個々人に任され、相談相手や職場でのサポート体制がない医師が多くいた。医師の心理的負担感に関連する要因としては、女性であること、経験年数が少ないこと、対処方法をもたないこと、無力感が強いことの4要因が抽出された。今後は、個々人でばらばらに行われている支援のあり方を見直し、遺族支援の質の向上、回復の難しいと危惧される遺族への支援の体制作りをはかるとともに、小児科医など援助者となる人たちへのサポート体制を整えることが重要である。 2)災害など平時ではない外傷的死別における遺族支援のあり方を知るために、これまでの国内外の文献を整理し、論文作成を行った。特に災害時では①死別反応とトラウマ反応の異同を整理し、複雑性悲嘆とPTSD、うつなどの混在などに留意すること、②複雑性悲嘆のリスクファクターを考慮に入れながら、リスクの高い人を同定すること、③複雑性悲嘆に陥りやすい行方不明者家族への支援を充実させていくこと、④支援者の共感性疲労に対して対策をとること、の4点が重要であると考えられた。 3)1)2)の成果などを、計17箇所の学会・研修会で伝達した。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(20 results)