2011 Fiscal Year Annual Research Report
台湾・中国・香港・韓国における戦前・戦後の不良・犯罪少年の教育権の保障
Project/Area Number |
22530824
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山田 美香 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (90331610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 敦 名古屋市立大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (80322767)
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Keywords | 台湾 / 香港 / 犯罪少年 / 不良少年 / 教育支援 / 輔導 / 訓育 / ソーシャルワーカー |
Research Abstract |
今年度は、昨年度の資料収集、調査を踏まえ、学会の研究例会で「台湾の少年法院と明陽中学」を共同発表した。また、現在の香港、台湾の犯罪少年・不良少年への教育的支援について、学校、関係機関(香港善導会、台北の不登校の生徒、問題を抱えた少年を支援する機関など)で調査をした。香港では、宗教団体、公教育が教育支援を行い、台湾では、公教育の中で支援をしていた。香港は、貧しい児童生徒に放課後計画で学校で放課後の活動を提供したり、犯罪少年・不良少年向けの特別支援学校がある。台湾では、一部の学校に家庭環境が良くない生徒が通う慈輝班、不登校の生徒が通う中途班が作られていた。香港・台湾の学校の訓育(生徒指導)、輔導は学校全体で生徒中心の方法で行っており、香港ではスクール・ソーシャルワーカーと支援団体のソーシャルワーカーの連携があった。2012年3月出版の『公教育と子供の生活をつなぐ香港・台湾の教育改革』(風媒社)で、その支援の具体的な状況を書いた。 また、戦前戦後の犯罪少年・不良少年の教育権の保障については、イギリスやアメリカ国立公文書館で資料収集ができた。これによって、香港、台湾の犯罪少年・不良少年への教育支援の現状や、戦前戦後の香港、韓国の教育支援の状況が分かってきた。現在、台湾、韓国は、アメリカから少年への教育支援の方法を学んでいるが、戦前の日本植民地時代からアメリカ的な教育支援への変化を論じることは、日本にとってもどのような犯罪少年・不良少年への教育支援が必要なのか考える上で重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
戦後の少年犯罪に関して、特に現在の香港、台湾の犯罪少年への教育的支援については、2012年3月出版の『公教育と子供の生活をつなぐ香港・台湾の教育改革』(風媒社)でその一部を発表した。また、台湾の戦後すぐの少年輔育院の資料収集を終え、2012年度に論文として執筆する予定である。今年度は、日本植民地後の韓国における少年司法についてもアメリカ公文書館などで資料収集ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
戦前・戦後の台湾、韓国の犯罪少年・不良少年の教育権については、台湾の資料は収集したので来年度論文を書く予定だが、韓国については今年度のアメリカ公文書館での資料収集に加え、今後は韓国での資料集を進める。また香港の犯罪少年・不良少年の教育権の保障の歴史については、香港での資料収集も進んだが、植民地の宗主国であったイギリスの公文書館で調査する予定である。 1980年代までの中国の犯罪少年・不良少年の教育については資料を見ることが難しいため、今後、現在の犯罪少年・不良少年への教育支援について調べる。
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