2011 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における農本的地域教育実践に関する調査研究
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22530838
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Research Institution | Ashiya University |
Principal Investigator |
三羽 光彦 芦屋大学, 教育学部, 教授 (90183392)
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Keywords | 農業教育 / 青年教育 / 実業補習学校 / 青年学校 / 地域教育 / 農村教育 / 塾風教育 / 全村教育 |
Research Abstract |
本年度は資料調査・聞き取り調査と学会発表を行い、重要なものを研究論文として発表した。まず以下の地域の謝査を実施した。(1)平成23年6月1日から同6月6日まで、愛媛県にて、愛媛県立図書館郷土資料室・内子町・宇和島市三間町・大洲市大洲・同上須戒・伊方町などにおいて、農業学校農業補習学校・農村塾などの資料を調査した。(2)平成23年10月14日に東京に出張し、福岡農士学校の関係者である伊藤角一・菰田正郎・片山修・佐藤慶太郎に関する聞き取りを行った。(3)平成24年1月10日から同1月13日まで、佐賀県において、佐賀県立図書館郷土資料室・多久村塾・弥栄義塾・田澤義鋪記念館・下村湖人記念館・農村工芸学院などの資料を調査し聞き取りを行った。(4)同1月14日から1月15日まで、鹿児島県立図書館にて、実業補習学校・青年学校の資料調査を行った。(5)平成24年2月16日から同2月19日まで、岡出県立記録文書館にて松本学文書の、岡山県立図書館にて実業補習学校のそれぞれ調査を行ない、瀬戸内市邑久の邑久土曜学校・岡山市の三徳園などについて資料調査を実施した。(6)平成24年2月21日から同2月22日まで、岐阜県中津川市で西尾彦郎と勤彊義塾の資料調査を実施した。(7)平成24年2月26日から同3月2日まで、鹿児島県奄美諸島において、実業補習学校・青年学校の資料調査および聞き取り調査を実施した。 そしてこれらの調査をもとに、日本教育学会・教育史学会・日本教育行政学会で研究発表を行った。その結論を要約すると、農本的教育はさまざまな系譜があるが、総じて農業教育である前に人格形成を重視する全人教育として取り組まれたこと。そうした点でこれらの実践は近代公教育をラディカルに批判する性質をもつものであったこと。鹿児島県・岡山県で実施された実業補習学校や青年学校の改革・充実施策は、こうした塾風教育的な影響を受けていること。全人的教育を重視する個性的な教育者によって、地域ぐるみの教育実践として担われたことなどを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初予想したように調査が進展している。ただし、関連して調査すべき内容が多く残っており。あと2年の研究期間を延長して継続調査が必要になることが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
関連して調査すべき内容が、量的にも質的にも多いことが判明してきた。当初予定していた調査内容を中心にして、この研究テーマについては研究期間内にひとまず纏めを行うように調整し、関連する内容、発展するテーマについては、さらに分節化して今後の研究課題として予定研究期間終了後も継続することを考えている。
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