2012 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における農本的地域教育実践に関する調査研究
Project/Area Number |
22530838
|
Research Institution | Ashiya University |
Principal Investigator |
三羽 光彦 芦屋大学, 教育学部, 教授 (90183392)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 地域教育 / 農業教育 / 教育自治 / 青年教育 / 実業補習学校 |
Research Abstract |
本年度も資料調査・聞き取り調査と学会発表を行なった。学会発表のうち重要なものを研究論文として発表した。調査対象は以下の地域・施設で行った。(1)平成24年9月5日から9日まで、鳥取県の県立公文書館、県立図書館、智頭町役場、智頭農林高等学校にて調査。(2)平成24年10月17日から21日まで、鹿児島県奄美大島・徳之島の郷土資料館、徳之島高等学校などにて調査。(3)平成24年12月26日から28日まで、滋賀県東近江市五個荘町にて地区有財産の古文書および学校日誌等を調査。(4)平成25年2月18日から22日および3月5日から7日の二度にわたって、熊本県の県立図書館、熊本市歴史文書資料室、熊本大学などを調査。(5)平成25年2月24日から3月1日まで、静岡県の県立図書館等を調査。 これらの調査をもとに、以下のように学会発表を行った。(1)日本教育学会(平成24年8月26日)において「戦前昭和期の農村における松本学の全村学校論に関する一考察」を発表。(2)教育史学会(平成24年9月22日)において「1920~30年代の実業補習学校の発展とその地域的諸類型に関する一考察」を発表。(3)日本教育行政学会(平成24年10月28日)において「戦後直後の奄美地域における学校の自生的創設に関す一考察-町村立実業高等学校の設置を事例として」を発表。また、(1)の発表内容は、『芦屋大学論叢』(平成25年1月)に「戦前昭和期における松本学の全村学校論に関する一考察」として論文発表した。 以上の調査および研究から、農本的地域教育実践は内務省や官僚からも注目され、上からの運動として展開される側面があったこと、こうした思想や実践は近代公教育を根本的に批判する視座を有しており、実業補習学校や青年学校の理念や実践にも援用されたことが見えてきた。さらに、戦後の新学制発足時においても影響を与えたことを、奄美地域の事例から検証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初予想したように調査は進んでいる。ただし、関連して調査すべき事項が多く出てきて。関連事項の調査については継続する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
関連して調査すべき内容が多出している。これらに関しては改めて分節化して今後の研究テーマとして再設定したい。例えば、実業補習学校や青年学校の系統的調査研究などがそれである。この研究テーマについてはひとまずまとめを行い、発展的ないくつかのテーマについては今後の研究課題としたい。
|