2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22530916
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河合 淳子 京都大学, 国際交流推進機構, 准教授 (70303922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 順姫 筑波大学, 人文社会科学研究科, 教授 (50199147)
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Keywords | 比較教育 / 国際教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、国際的な比較によって、(1)現代日本の大学生の留学志向を把握し、(2)留学志向の形成にいかなる要因(家庭要因、大学教育環境要因、キャリア志向要因等)が関与しているのかを解明することである。 平成23年度はタイ及び日本の関東圏の研究型総合大学それぞれ一校においてアンケート調査を実施した。これにより、日本の2大学、中国1大学、タイ1大学のデータが整った。これらの調査結果の分析、考察を進めているところである。現在までに、以下の点が明らかになった。1)日本、中国、タイ共に学生の留学志向には層化構造(積極層、浮動層、消極層)が存在すること、2)積極層、浮動層、消極層の比率には日本、中国、タイで差が見られること。日本の2事例では三層の比率は似通っており、浮動層が過半数を占めること、3)留学志向の形成に影響を与える要因には3か国で共通点と相違点が見られること(共通点:外国語運用能力の自己評価、大学教育環境が留学志向に影響を与える点、相違点:家庭背景や幼少期文化体験の影響の強弱)等が明らかになってきた。3月にタイの調査対象大学を訪問し、海外研究協力者の支援の下、アンケート調査と並んで10数名の学生に対するインタビュー調査も実施し、量的、質的双方からの考察を試みた。訪問調査、インタビュー調査の際は対象者の許可が得られた範囲でデジタル媒体での記録を残している。昨年度実施した中国でのアンケートの分析も継続し、論文1編(韓・河合2012)を執筆した。日本、中国、タイの3ヵ国4事例を、世界的な留学動向の中に位置づける目的から、留学に関する世界各国データの整理、先行研究の検討を昨年度に引き続き行った。平成23年度は、以上の成果を論文計2編及び学会発表1件により公表した。本研究に関連して、招待講演1件やシンポジウム演者1件の依頼を受け、これまでの研究成果について報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度、23年度内に、中国、タイの研究型総合大学における学生対象アンケート調査の実施した。これは、研究開始当初の予定通りである。各事例で収集されたデータの数は300-500票となっており、量的分析が十分行える規模である。また、平成23年度には、研究分担者の協力を得て、日本の大学で追加調査を実施し、日本で二事例を揃えることができた。タイではアンケートに加えて、留学動機の詳細についてインタビューも行った。データ入力、単純集計、分析準備、論文発表、学会発表も順調に行っている。「9.研究実績の概要」で述べた本研究の目的(1)(2)が、国際比較を通じて徐々に明らかになっており、順調に研究計画を遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、中国、タイ及び日本の3か国4大学の研究型総合大学での学生対象アンケートのデータが揃い、留学志向の比較研究のための準備が整っている。今後の主な研究内容は、(1)アンケート調査で得られたデータの分析、検討、(2)左記の(1)を行う際、必要に応じて、学生インタビュー、訪問調査等の追加調査を実施すること、(3)研究成果の公表である。特に最終年度(平成24年度)は本研究の成果報告書をまとめ、刊行することが重要である。そのため、研究グループ内(研究代表者、研究分担者、連携研究者、研究協力者)で意見交換、報告の機会を持ちながら分析を進め、各自が報告論文を執筆する。海外研究協力者とは遠隔会議システム等を有効に活用して、緊密に連絡を取り、研究の進展を図る。今後の研究の方向についても検討する。
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Research Products
(8 results)