2011 Fiscal Year Annual Research Report
「通学区の変更」と「学校選択制度」が学校の規模と配置に与える影響の日米比較研究
Project/Area Number |
22530920
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
佐々木 司 山口大学, 教育学部, 准教授 (30263651)
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Keywords | 通学区 / 学校選択制度 / 比較教育学 / 学校規模 / 学校配置 |
Research Abstract |
研究2年次の平成23年度は、おおむね当初の計画通り、各種文献資料の収集、アメリカ合衆国カリフォルニア州での現地調査、その他を精力的に行った。初年次に入手していた各種資料・データとあわせ、主として次の2点を実施し、成果をあげた。 第1に、カリフォルニア州内に所在する、あるチャータースクールが、一般公立学校および学区といかなる関係にあるのか、その関係性をチャータースクールの役員会の会議録(1993年~2011年5月)から読み取った。学校選択制度としてのチャータースクールと一般公立学校は、互いに学区内の学校規模や配置に影響を与える可能性があるからである。同チャータースクールは、公立学校のキャンパスをいわば「間借り」するかたちで発足し、その後2000年には専用の校地・校舎を得て独立した(ただし用地、校舎とも学区財産)。さらに2011年には他の公立学校校舎の一部を利用する、あるいは学区外に校舎の一部を設置する案も浮上したことを明らかにした。以上の分析結果については、日本比較教育学会で口頭発表した。 第2に、カリフォルニア州内のある学区において2000年以後の10年間に、(1)何のために閉校・通学区の変更が行われているのか、(2)閉校・通学区の変更はどのような項目に基づいて検討されているのか、(3)通学区が変更される際、学校選択制度はどのように考えられているのかを分析した。それぞれの結論は次のようになる。(1)児童生徒数の不均衡の是正、"飛び地"の解消、"フィーダー・パタン"の是正、不統一な学年構成の是正のために行われていた。(2)学区内のすべての小学校を対象に、閉校の可能性を数値化した上で検討がなされていた。(3)閉校・通学区の変更を検討する際、学校選択制度がもたらす影響は考慮された形跡がない。以上の分析結果については、中国四国教育学会で口頭発表するとともに、同学会の学会誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体的には、およそ計画通り文献調査、現地調査等を実施し、その成果に関して学会での口頭発表、論文発表を行い得ているため、上記のように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後(研究最終年度)は予定どおり、目標達成、最終成果の公表を中心に行っていく。文献調査、現地調査についても実施するが、これも補足的なものを中心とする。これまで日米で計6学区を調査対象として資料収集、分析を行ってきたが、このうち日米で1学区~2学区を主たる分析対象として、より精緻なリサーチをしていく予定である。学会発表、論文発表を継続するとともに、最終報告書を作成し、年度内にインターネット上にアップロードする予定である。
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Research Products
(3 results)