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2010 Fiscal Year Annual Research Report

近代日本の学生文化の形成と伝播~身体・ハビトゥス・ネットワークからの分析~

Research Project

Project/Area Number 22530934
Research InstitutionKanazawa Seiryo University

Principal Investigator

井上 好人  金沢星稜大学, 人間科学部, 准教授 (30319032)

Keywords上京学生 / 同郷会型寄宿舎 / 立身出世 / 坪内逍遙 / アイデンティティ
Research Abstract

上京学生のために旧藩ごとの寄宿舎の開設が流行となるのは、明治二十年代に入ってからである。このタイプの寄宿舎で、最も早い時期のものは、旧加賀藩地域(加賀・越中・能登)出身学生の寄宿舎である「久徴館」である。同館は、明治15年、県からの留学生8名が集い、「人材養成ノ目的ヲ以テ一社ヲ起サンコトヲ議シ」総則十一条を定めて興された結社がその端緒である。本研究においては、『久徴館同窓会雑誌』の記述を分析することによって、下宿屋ではない"同郷会型寄宿舎"に集った学生の諸相をたどり、学生気質の変化とその社会的背景を探った。さらに、郷友会の初期メンバーとなっていく久徴館の在館者の特徴を明らかにすることによって、「流動エリート」の地元-中央の関係について考察した。
その結果、「故郷」の記憶を絆やアイデンティティを"再発見"し、これを拠り所にしようとする"同郷会型寄宿舎"の登場は、学生たちの「学生生活」への楽しみを希求する願いに応えるとともに、同郷集団に所属することによって立身出世を水路付けしたいとする野心にも応えるための、ひとつの解決策として機能していたことが明らかになった。これは、坪内適遙が『当世書生気質』の中で夢想した学生の連帯の形とはいささか異なる方向であったが、久徴館の意外な不人気と明治29年に至る閉館をみれば、坪内の慧眼ぶりに驚かざるを得ないともいえる。久徴館は当初から次のような問題を抱えていたことが明らかになったからである。第一に、「館長」の引き受け手がいなかったこと、第二に、学生の転居が頻繁であったこと、第三に、東京遊学者の減少、第四に、施設の維持管理費の問題、である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2011 2010

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 四高における音楽部の創設~石倉小三郎に集う洋楽愛好者たち~2011

    • Author(s)
      井上好人
    • Journal Title

      人間科学研究

      Volume: 第4巻第2号 Pages: 7-12

  • [Presentation] 明治前期の「久徴館」と旧加賀藩出身学生~『久徴館同窓会雑誌』の分析から~2010

    • Author(s)
      井上好人
    • Organizer
      教育史学会
    • Place of Presentation
      早稲田大学
    • Year and Date
      2010-10-10

URL: 

Published: 2012-07-19  

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