2011 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症スペクトラムを対象とした感情コントロール促進プログラムの開発
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22531078
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
黒田 美保 淑徳大学, 総合福祉学部, 准教授 (10536212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲田 尚子 (独)国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所児童思春期精神保健研究部, 研究員 (60466216)
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Keywords | 自閉症スペクトラム / 自己の感情認知 / 感情コントロール / ADOS / 青年期・成人期 / 心の理論 |
Research Abstract |
本研究の最終目標は,高機能自閉症スペクトラムの青年・成人を対象とした感情コントロール促進プログラムを開発することである。平成22年度の研究で把握された青年期・成人期の高機能自閉症スペクトラムの感情認知の特徴を考慮して,実際の感情コントロール促進プログラム(小集団認知行動療法)を作成した。内容は,独自に開発した自閉症スペクトラム特性の理解プログラムに加え,感情コントロール促進プログラムは,すでに開発され一定の検証がなされたAttwood(2009)のプログラムに修正を加えたものである。1クール8回で,1回100分で実施している。第1回自閉症スペクトラムの特徴,第2回リラクゼーションと嬉しい気持ち,第3回リラクゼーションと安心感,第4回他者との違いと悲しい気持ち,第5回得意なところと不安な気持ち,第6回苦手なところと不安への対処法,第7回怒りの気持ちと対処法,第8回まとめ(自閉症特性と気持ちの伝え方)。プログラムの中で,参加者各自にプリントなどを通してワークをしてもらい,最終的に参加者独自のノートができるようにしてあり,グループ終了後も活用してもらえるようになっている。現在,小集団で実施し効果を測定中である。 <効果検証の方法>被験者:16歳以上の青年期・成人期の自閉症スペクトラム者20名。1グループ4~5名で4~5グループ実施する。手続き:4~5名からなる小集団で,感情コントロール促進プログラムを実施し効果を測定する。自己記入式質問紙(WHO-QOL)や専門家評価(GAF)や他者の感情理解の「心の理論」課題等を行い,プログラムの効果を測定しているところである。 現在まで2グループが終了しているが,GAFにおいて改善がみられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに進行し,先行研究に鑑み自閉症スペクトラム障害の成人を対象とした感情コントロール促進プログラム(小集団認知行動療法プログラム)を作成した。プログラムは,視覚的な教材を用いて感情認知を高めるパートと自閉症特性について学ぶパートからなる。また,現在,グループ実施前後で,WHO-QOL,GAFのスコアを測定しプログラムの有効性を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度前半期まで,効果検証のための成人グループを実施し,その効果をまとめる。また,その効果検証の結果をみて,プログラムの改変を行い,自閉症スペクトラムの青年・成人を対象としたより良い感情コントロール促進プログラム(小集団認知行動療法プログラム)を作成する。
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