2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540026
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小須田 雅 琉球大学, 理学部, 准教授 (40291554)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2014-03-31
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Keywords | Party代数 / Partition代数 / Diagram代数 / Cell代数 / Cell表現 |
Research Abstract |
「研究実施計画」に記載したとおり、本年度はParty代数のcell表現について、直既約表現が単純になるための必要十分条件や単純成分がどのように含まれているかを解明することが目的であった。 予定どおり5月には「第15回代数群と量子群の表現論」に参加、また9月には数理解析研究所の研究集会「ホップ代数と量子群--応用の可能性」に参加し、Diagram代数とCell代数についての講演を行った。2つの研究集会の参加者との討論の結果、表現の圏化についての情報交換を行うことができ、今後の研究方針についての知見を得ることが出来たが、具体的に自分の研究が圏の言葉でどのように記述出来るかまでは解明することは出来ていない。 9月以降は、新しいDiagram代数の例であるMotzkin代数について書かれたBenkart, Halverson両氏による論文について検討し、そこに提示されていた未解決問題(Motzkin代数の定義関係式を求めること)に取り組んだ。2ヶ月程で部分的な結果が得られたものの、論文としてまとめる程の結果ではなかったため、9月の数理解析研究所の研究集会の講究録作成の際に、結果のみを記載した。この問題については、Kris Hatch, Megan Ly, Eliezer Posner達により、完全に解決されたという論文が2013年の1月にアーカイブに投稿された。残念ながら私が得た結果をほぼ網羅するものであったが、一部に不備もあるように見受けられるので、今後精査する予定である。 このように年度後半に自身の研究の先を行く研究が他者によってなされるということが起こったものの、Diagram代数の例が増えたことで、研究の範囲が広がったことになる。今後の研究に活かせるものであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記記載のように、年度後半は新しいDiagram代数の例としてMotzkin代数の定義関係式を求めることに専心した。発表間際に他者によって論文が発表されるということが起こったため私自身の研究成果とはならなかったが、新しいDiagram代数の例が見つかり、その例について多くの知見を得たことは収穫であった。 Party代数やPartition代数については、Murphy元を計算するプログラムの改善が行われたり、cell表現に関する新たな知見が得られたりするなどの成果を得た。 以上のことから、研究全体としては概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度なので、現在までに得られた結果、とくに成瀬氏の協力のもと得られたParty代数とPartition代数のMurphy元の計算プログラムとB型のParty代数のseminormal formによる表現に関する論文をまとめて学術雑誌に投稿する予定である。Motzkin代数に関する結果は、論文発表するほどの成果ではないが、新たな知見が得られているので、先に発表した研究者にその内容についてe-mailで報告するとともに、大学内の紀要に載せるかアーカイブに投稿するなどして、他の研究者が私の結果を利用出来るようにしておく。 今後さらに研究を発展させるために、今までに得られた成果を関連する研究を実施している研究者と情報交換を行なうため、各地で行なわれる研究集会への参加を予定している。とくに6月にパリで行なわれるFPSACには、Partition代数やMotzkin代数について研究を行なっているHalverson氏の発表が予定されているので、この研究集会には、全日程出席し、現在まで得られたお互いの研究結果に関する意見交換を十分に行なう予定である。その他の研究交流については、相手の都合もあるので未定であるが、昨年度からStroppel氏からWalled Brauer Algebra に関する研究交流を求められているので、機会があれば氏の参加する研究集会に参加する予定である。
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