Research Abstract |
順序極小理論は実閉体の理論の一般化にあたる,言語に順序<を加えた実閉体では,量化記号消去が可能になり,その結果として1次元の定義可能な部分集合が極めて簡単な形(区間の有限和)で表されることがわかる.以上の性質は理論の順序極小性とよばれている.この順序極小性を用いると,実閉体の理論の研究が,この性質を公理的に用いて,非常に統一的な視点から行えるようになる. また,実閉体に指数関数を付け加えた構造(R,0,1,+,\cdot,exp(*)の理論も順序極小になることが知られている.しかしながら,加法群としての実数の構造に正弦関数を付け加えた構造(R,0,1,+,sin(*))の理論は順序極小にならない. この形の構造の一般論を与える枠組みとして局所順序極小構造が定義されている.しかしながら,その定義は必ずしも見通しのよいものではなかった.そのために回り道の議論もあった.この点を踏まえて,我々は,次の結果を得た: 研究結果1.局所順序極小構造(強い意味)は,各点の十分小さな近傍に定義可能集合をその近傍に制限した構造を入れたときに,順序極小になることと同値であることを示した.このことにより,過去に順序極小構造に対して得られた結果を,自動的に局所順序極小理論に拡張することが可能となる. 研究結果2.我々は単純積という新しい概念を導入し,多くの局所順序極小構造が,より簡単な構造から単純積を用いて得られることを示した.特に(R,0,1,+,sin(*))の局所順序極小性が容易に従うことがわかる.
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