2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540111
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
田沼 一実 群馬大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60217156)
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Keywords | 非等方弾性体 / 弾性波動 / Rayleigh波 / 分散公式 / fiber-reinforced composites / 位相速度 / 逆問題 / 弾性表面波 |
Research Abstract |
弾性波動方程式の係数パラメターである非等方弾性テンソルが,P波S波,表面波といった弾性波を記述する弾性波動方程式の解の挙動にどのような影響を及ぼすかを考察した.とくに本研究では,自由境界面近傍を伝播する表面波(Rayleigh波)解をもちいて,Rayleigh波の位相速度に対する弾性テンソルによる摂動と分散の構造を明らかにすることを目標とした.非等方弾性体の波動伝播をもちいて弾性テンソルを決定する逆問題において,弾性波の速度から弾性テンソルを決定する逆公式を直接表示することは,非等方弾性体の複雑さから到底望めない.そこで弾性テンソルからRayleigh波の位相速度を決定する順問題を予測初期値から数値的にくり返し解いて,弾性テンソルの最適解を求めるアルゴリズムが望まれる.逆問題を解くこのような見地からも,Rayleigh波の位相速度に対する精密な順問題解析が重要となる.具体的な研究結果は以下のとおり. 1.弾性テンソルが自由境界表面から深さ方向に不均質であるとき,Rayleigh波の位相速度に対して,高周波漸近展開公式(分散公式)の主要項と低階項を導出する手続きを与えた.また境界表面でのRayleigh波解の変位(Dirichletデータ)と表面力(Neumannデータ)との線形関係をあらわすサーフェスインピーダンスは,各項がエルミート行列である高周波漸近展開を有することを示した.以上の成果を国内外の研究集会で発表した. 2.ある方向を向いたファイバーで補強された複合材料は,強い非等方性をもった横等方弾性体となる.その表面を伝播するRayleigh波の位相速度は代数方程式を解くことで比較的容易に得られるが,ではファイバーの方向が既知なものからほんの少しずれた場合にRayleigh波の位相速度はどのように摂動するか,あるいは既知の横等方弾性体に微少な残留応力が加わった場合,位相速度はどのような影響を受けるか,という問題をモデルに,Rayleigh波の位相速度の一次摂動について研究成果の速報を寄稿した.
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Research Products
(4 results)