2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540157
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小川 重義 立命館大学, 総合理工学研究機構, 教授 (80101137)
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Keywords | 非因果的確率解析 / 確率微分方程式 / 非因果的システム / 確率数値解析 / 確率フーリエ解析 |
Research Abstract |
計画第2年目である平成23年度は22年度の結果を踏まえ、非因果的確率解析に於ける基礎的課題の一つである「確率的フーリエ変換」について研究を行った。これは代表者が1991年度の研究で提唱したものである。確率フーリエ変換は使用する非因果的確率積分の種類により二つのものがある、即ち;一つは代表者の導入した非因果的積分(いわゆるOgawa積分)によるもの、今ひとつはA.Skorokhodが導入した積分(Skorokhod積分)によるものである。平成23年度は準備運動として研究対象をSkorokhod積分による確率フーリエ変換に絞り、その基本的性質、特に因果的更には非因果的ウィーナー汎関数空間における可逆性について研究し、まず基底が三角関数系である場合に肯定的結果を得、更に一般的基底に関する確率フーリエ変換の場合についても拡張し同様の結果を得た。 これらの結果は2編の論文にまとめ内1編は専門欧文誌(Stochastics)既に掲載済みであり、他1編は投稿中である。また2回の国際会議、2回の国内会議(日本数学会年会)等々国内外の会議、研究会にて発表を行った。これらの研究推進についてはG.Kerkyacharian氏(パリ第7大)やM.Emeryr氏(ストラスブール大)、植村英明氏(愛知教育大)との議論が役に立った。 またこれと並行して、ヴォラティリティー推定問題等の応用的課題研究も行った。即ち、金融工学に於けるBlack-Sholes Modelのような一般的(線形)SDEモデルの数値近似法やパラメーター推定法の開発について研究を継続し、国外研究協力者(パルマ大教授S.Sanfelici氏)と共同で、代表者が2年前に開発した推定法の改良に関する結果を得、海外での研究会議やセミナーにて発表するとともに、専門欧文誌(Economic Notes, Bank dei Parsci di Siena)にも掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
基礎的研究面では2乗可積分ウィーナー汎関数に対する「確率的フーリエ変換」の性質、特に可逆性についてほぼ一般的な結果を得、副産物としてファイナンスに於けるパラメーター推定(ヴォラティリティー推定)問題におけるフーリエ級数法の数学的背景をある程度明らかにするなど、応用研究面での成果につながった。これらの結果は2編の論文としてまとめ(うち1編は国際学術誌に掲載済)るほか、各種国内外学会(日本数学会講演2回、国際会議JIPE於けるリマ・カトリック大での招待講演,ホーチミン法経大学での国際会議における招待講演)や研究会(パリ大学、ストラスブール大における確率論セミナー)でも発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
理論面では非因果的確率積分(ogawa積分)の枠組みで定められる確率フーリエ変換の研究に焦点を絞り、その基本的性質(特に可逆性)についての考察を通して、本来の問題の一つである「フレドホルム型線形確率積分方程式の解の構造解明」を目指して行く。また応用面では、非因果的確率微分(あるいは積分)方程式の近似解構成の問題を手はじめに非因果的システムの同定問題について研究を進めていきたい。これまで同様、海外の研究協力者との討論は貴重であり、今後もこの方針は継続する(従って可能であれば旅費の補充を期待したいところである)。また研究成果はその都度学会誌や国内外研究会にて発表していく。
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Research Products
(8 results)