2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540176
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
石田 晴久 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (80312792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 裕也 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (30211056)
木下 保 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (90301077)
廣澤 史彦 山口大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (50364732)
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Keywords | 退化双曲型方程式 / 振動理論 / 初期値問題 / エネルギー評価 / 適切性 |
Research Abstract |
1.時間変数係数の2階退化双曲型方程式の代表例である,トリコミ型方程式め正値解の存在条件を考察した.特に,空間1次元の場合にトリコミ型方程式の解の表現公式を直接用いて調べた.その結果,波動方程式に対応する結果と異なり,変数係数の双曲型方程式に対しては解の表現公式を直接用いてもより良い条件は得られなかった.また,解の正値性に主要部の表象の退化性は本質的に影響しないことが判明した. 2.非有界または1点で退化する時間変数係数の2階同次双曲型方程式に対する初期値問題の解のエネルギー評価,および適切性(一意的存在性)を研究した.特に,係数がC^∞級またはジュブレイ級に属するような非常に滑らかな関数の場合に,その滑らかさ(微分回数)が解の評価に及ぼす影響を精密に解析した. 3.振動係数をもつ退化双曲型方程式の研究を行った.係数の振動の度合いとしては,その導関数の発散位数を用いて,退化位数との関係も探りながら,ジュブレイ級の関数空間における適切性に関する結果を得ることができた. 4.コルン不等式を一階楕円型方程式系に対する不等式と捉えてその一般化を考察し,既知のものと同値な,より直接的に検証できる不等式の成立条件を得た.また,コルン不等式が成立する一階楕円型方程式系のある臨界的なクラスの構造に関して,若干の結果を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始当初は正値解の存在条件を調べる上で解の表現公式を直接用いる方がより良い結果が得られるものと予想していたが,それは困難なことがわかり,研究手法の変更を迫られたため計画がやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
トリコミ型方程式のような特別な変数係数の双曲型方程式でも解の表現公式で正値解の存在条件を考察するには大きな障害があることがわかった.そこで,半線形波動方程式系に対する初期値問題の解の爆発条件を調べる際のように,全空間で正値解の存在条件を考えるのではなく,ある部分領域における球対称解の正値性を調べて,解の正値性が成立する領域の形状や構造を明らかにしてから再考する.そのときに方程式を適切に変換することも併用し追究して行く.
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